大隈財政

大隈財政について

大隈財政（おおくまざいせい）は、明治期初頭に大蔵卿を務めた大隈重信によって実施された重要な財政政策を指します。この政策は、後に松方正義が推進する松方財政と対比されることが多く、当時の日本の経済基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

背景

大隈重信が大蔵卿に任命されたのは1873年で、その任期は1880年にまで及びますが、実際には1869年の近代的な大蔵省創立以来、彼はその最高責任者として活動してきました。特に大蔵卿の職を離れた後も、彼は日本の財政政策において影響力のある存在であり続けました。

彼が財政を担当することになったのは、旧幕府や新政府による乱雑な貨幣発行が発覚し、国外からの圧力が強まったためです。大隈は、明治政府の貨幣改革を推進し、同時に外交問題も解決する必要がありました。彼は、仲間の木戸孝允や伊藤博文などと共に、新しい貨幣制度の設立や予算制度の導入に着手しました。

政策の展開

大隈がとった政策には、廃藩置県や地租改正、秩禄処分が含まれ、これを通じて明治政府の財政基盤が強化されました。また、近代的商工業の発展を目指し、官営工場の設立と国立銀行の設立を進め、民間企業に資金を供給することによって経済の活性化を目指しました。このような取り組みは、国際的な収支の改善や日本の産業近代化のために重要でした。

しかし、大規模な政策を実行するには膨大な資金が必要であり、国債や外債、不換紙幣の発行に頼らざるを得ない状況に陥りました。また、佐賀の乱や西南戦争による予期せぬ財政出動がインフレーションの原因となり、大きな難題を抱えることとなりました。

変革への挑戦

大久保利通が暗殺された後、大隈は首相の伊藤博文と共に政権運営を行うことになりますが、インフレーションへの対策が求められることに。彼は、「公債及び紙幣償還概算書」を作成し、長期的な償還の計画を立てましたが、これも後に見直されるなど、一筋縄ではいかない状態でした。

特に注目すべきは、1880年に伊藤の提案で大蔵卿と参議の分離が行われることです。大隈自らが大蔵卿を辞任し、財政担当の参議に就任しました。この時期、松方正義が新たに大蔵卿に任命され、政権の改革が進められますが、大隈は自身の提案が受け入れられないことで不満を抱くことになります。

終焉

最終的に、大隈は立憲制の導入を巡る内部抗争や、開拓使官有物の問題で政権内の対立が深まり、御前会議を召集されるに至ります。この結果、彼は参議を免官され、財政政策の終焉が決定づけられました。このように、大隈財政は明治政府の財政の転換点として、その後の日本の経済構造にも大きな影響を及ぼしました。

関連項目

• - 松方デフレ

大隈財政は、明治期の日本における財政政策の重要な一環であり、その政策の成否が後の日本経済に対する根本的な影響を及ぼしました。

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