大隊戦術群

大隊戦術群（BTG）について

大隊戦術群（BTG）は、ロシア陸軍における高度な即応能力を有する部隊であり、陸上の諸兵科を統合した機動部隊です。この部隊は、主に防空、砲兵、工兵、そして後方支援部隊によって強化され、一般的には2から4個中隊の大隊（多くは機械化歩兵）で構成されています。通常、この大隊には戦車中隊やロケット砲も含まれ、戦闘において非常に効果的な戦力を発揮します。

組織と編成

BTGは、ロシアの守備旅団から編成され、通常約600人から800人の兵士を抱え、約200人の歩兵が含まれます。さらに、約10台の戦車と約40台の歩兵戦闘車が配備され、戦術的な柔軟性を持っています。BTGは、フランス軍の統合戦闘群（GTIA）に似た組織として機能し、各地で即応任務を遂行します。特に、2013年から2015年にかけてのロシアのウクライナ介入では、BTGが主要な戦力として活躍しました。

歴史的背景

BTGの起源は、ソ連陸軍に遡ります。第二次世界大戦期に、1-2個戦車中隊や歩兵中隊を含む諸兵科連合大隊が実験的に運用されており、これは機動戦闘を目的としたものでした。しかし、当時の運用上の柔軟性や専門的な下士官の不足が、BTGの形成を妨げていました。その後、1979年のアフガニスタン侵攻にあたり、BTGが初めて戦力として見られることとなりました。これによって、即応性の高い小規模部隊の重要性が浮き彫りになりました。

第一次および第二次チェチェン戦争や2008年のロシア–ジョージア戦争の際にもBTGが編成されており、これらの戦争での部隊運用の必要性から派生しました。2008年、ロシア国防省は即応旅団を創設する計画を発表しましたが、実際にBTGの編成が選ばれました。この背景には兵力不足があり、志願制による新たな構成が求められました。

ロシア–ウクライナ戦争におけるBTG

BTGは、現在のロシア–ウクライナ戦争においても重要な役割を果たしています。2016年の報告では、ドンバス地域で展開するロシア軍の主力を構成しており、多様な中隊構成が特徴です。具体的には、1個の戦車中隊、3個の機械化歩兵中隊、2個の対戦車中隊、2-3個の砲兵中隊、2個の防空中隊から成り立っています。これにより、BTGは多様な戦闘状況に対応する柔軟性を持っています。

戦場では、BTGが関与した主要な戦闘には、マリウポリや第二次ドネツク空港の戦いが含まれます。また、ロシアの指導者たちは、BTGの数を増やす計画を持っており、2018年までの数の増加を表明しました。これにより、BTGはロシア軍の常設部隊として定着することになりました。

BTGの強みと弱み

BTGの利点は、機動性と即応性にあります。重火器を効果的に運用できる部隊として構成されており、敵部隊との交戦においては長距離からの攻撃が可能です。しかし、比較的小規模な部隊であることから、人員や装備において相対的に不足しています。このため、部隊の側方や後方の安全は、他の軍事組織に依存しています。また、ロシア法では徴集兵の海外派遣が禁止されているため、BTGの多くは志願兵から構成されています。これにより、持続可能性に課題を抱えることもあります。

BTGは、ロシア陸軍の運用の要となる存在ですが、その運用には特有の課題も抱えているのが実情です。

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