大韓独立促成国民会

大韓独立促成国民会：建国期の韓国を彩る右派勢力

1946年2月8日、米軍政下の韓国で誕生した大韓独立促成国民会（略称：独促）は、右派勢力を結集した重要な政治団体でした。その活動は、朝鮮半島の未来を大きく左右する激動の時代における、韓国建国史の重要な一端を担っています。

発足の背景：信託統治反対と左右対立

1945年12月のモスクワ3国外相会議で決定された朝鮮半島の信託統治案は、韓国国内に大きな衝撃を与えました。これに対し、各地で信託統治反対運動が巻き起こりました。しかし、左派勢力はその後、突如として信託統治賛成に転じ、右派勢力との間で激しい対立が勃発しました。

この対立構造の中で、右派勢力は、韓国民主党、韓国独立党、そして独立促成中央協議会といった主要な組織を擁していました。これらの組織は、それぞれ異なる歴史的背景と政治的立場を持っていましたが、信託統治反対という共通の目標の下に結集する必要性を感じていました。

組織の統合と李承晩の指導

独促国民会は、信託統治反対運動の中心勢力であった独立促成中央協議会と、金九が中心人物であった信託統治反対国民総動員中央委員会を統合することで誕生しました。李承晩が総裁、金九と金奎植が副総裁に就任し、右派勢力の結束を強固なものとしました。李承晩は、この組織を基盤に、自身の主張である南側単独政府樹立に向けた活動を精力的に展開しました。

左右合作の終焉と単独政府樹立

米軍政庁が推進していた左右合作運動は、アメリカ政府の方針転換や呂運亨暗殺（1947年7月19日）などをきっかけに頓挫しました。この事態を受け、韓国における単独政府樹立が現実味を帯び始めます。

1948年5月10日に行われた制憲議会選挙において、独促国民会は200議席中55議席を獲得しました。この選挙結果は、独促国民会が韓国社会における大きな影響力を持つ政治勢力として確固たる地位を築いたことを示しています。

民族統一本部と韓国建国

独促国民会を土台に、李承晩は1946年6月27日に「民族統一本部」を結成しました。これは、南側単独政府樹立を目指すための組織であり、独促国民会の政治活動をさらに推進するための重要な役割を担いました。民族統一本部の活動は、結果的に大韓民国の建国へと繋がっていきました。

結論：韓国建国史における重要な役割

大韓独立促成国民会は、朝鮮半島の信託統治問題をめぐる激しい政治闘争の中心に位置し、右派勢力の結束と政治的発言力の強化に大きく貢献しました。その活動は、韓国の建国過程に決定的な影響を与え、今日の韓国政治の礎を築く上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。 左右対立という複雑な歴史的文脈の中で、独促国民会は、韓国建国という歴史的転換期における重要な政治勢力として、その存在感を示しました。その活動は、現代韓国の政治構造やイデオロギー的背景を理解する上で欠かせない要素となっています。今後の研究においても、独促国民会は重要な分析対象として位置づけられるでしょう。

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