大須事件

大須事件の詳細

大須事件または大須騒擾事件は、1952年7月7日に愛知県名古屋市中区大須で発生した重要な事件です。当時、日本社会党と改進党の代議士が、戦後初めてソ連と中国を視察し、帰国後に地元での歓迎行事が予定されていました。この行事には約7,000人が集まり、初めは友好的な雰囲気で進行していましたが、事態は急変しました。

事件の背景

1952年、日本社会党の帆足計議員と改進党の宮腰喜助議員らが、戦後初めてソビエト連邦と中華人民共和国を視察し、民間貿易協定を結んできたことが国民の間で注目を集めました。帰国した両代議士の歓迎のために、大勢の支持者が名古屋駅に集まり、無届のデモが行われました。このデモは名古屋市警察によって解散させられると、暴動の兆しがはっきりと表れ始めます。

事件の経過

7月7日の歓迎報告会では、会場に集まった多くのデモ隊が「警察の弾圧に抗議する」と訴え始め、次第に緊張が高まっていきました。名古屋大学の学生がマイクで警察への抗議を行った際、他の参加者たちが応じて騒乱が起き、デモ隊は警察に対して火炎瓶や石を投げ始めました。この衝突により、警察官や一般人を含む多くの負傷者が出ました。

衝突の激化

デモ隊は暴力的な行動に移り、約1,500人が集まって警察に対して挑発し続けました。名古屋市内の複数の場所で暴動が展開され、警察は現場に急行しましたが、デモ隊はそのまま分散しつつ波状的に攻撃を行いました。結果として、警察官や消防士、デモ参加者を含む84人が負傷し、さらに1名の無関係な高校生が死亡する事態となりました。

事件後の裁判

事件の発覚を受けて、大規模な捜査が行われ、152人が起訴されました。この裁判は26年という長期にわたり、日本共産党の活動や暴力的行動に関する深刻な議論を引き起こしました。名古屋地方裁判所や名古屋高等裁判所は、日本共産党の計画的な暴動であったと認定し、多くの有罪判決を下しました。

事件の影響

大須事件は「血のメーデー」や「吹田事件」と並び、戦後の日本における三大騒乱事件の一つとされています。この事件は、暴力革命を支持する日本共産党の姿勢や、当局の対応の問題について幅広い議論を引き起こしました。事件を受けて、一部の元被告たちは、自身の行動の正当性を主張しながら、党への不信感を露わにしました。

支援活動と反響

日本共産党はこの事件に対して、様々な支援活動を展開し、在日韓国人や学生団体を巻き込んだ大衆運動を展開しましたが、最終的に1978年に最高裁判所が上告を棄却し、有罪が確定しました。事件の影響は今でも多くの人々に記憶されており、日本の戦後史における重要なターニングポイントの一つとして語り継がれています。

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