大鴻臚

大鴻臚（だいこうろ）は、中国の秦から後漢にかけて存在した官職です。その役割は時代とともに変化しましたが、主に周辺諸民族の管轄や国家の儀礼を取り仕切る重要な職務を担っていました。

秦・前漢時代

大鴻臚の起源は、秦代の中央官である典客に遡ります。典客は、帰順した周辺諸民族、いわゆる「蛮夷」を管轄していました。この官職には丞が置かれ、組織的な運営が行われていました。前漢時代にもこの制度は引き継がれましたが、景帝の時代に一時的に大行令と改称されました。その後、武帝の太初元年（紀元前104年）に再び大鴻臚という名称に戻されました。

大鴻臚には、以下の属官が存在しました。

行人令 - 行人丞: 外交や使節に関する業務を担当。
訳官令 - 訳官丞: 周辺諸民族との通訳を担当。
別火令 - 別火丞: 太初元年に新設された役職で、具体的な職務内容は不明。
郡邸長 - 郡邸長: 各郡の邸宅を管理する役職。当初は少府、後に中尉に係属。

後漢時代

後漢時代においても、大鴻臚は引き続き重要な官職として存続しました。主な役割は、諸侯と帰順した周辺諸民族の管轄です。定員は1名で、秩禄は中二千石でした。大鴻臚は、郊廟における儀礼の実施を主宰し、諸王が入朝した際には、その儀礼を取り仕切りました。また、皇子、諸侯、諸侯の嗣子、周辺諸民族で冊封された者に対して、台下で大鴻臚が印綬を授ける儀式も行いました。

大鴻臚の下には、丞1名が置かれ、秩禄は比千石でした。さらに、属官として以下の役職がありました。

大行令: 1名、秩禄六百石。
大行丞: 1名。
* 礼郎: 47名。儀礼に関する実務を担当。

大鴻臚は、中国の王朝において、周辺諸民族との関係を円滑にし、国家の儀礼を滞りなく行うための重要な役割を担っていた官職と言えるでしょう。

もう一度検索