少府

少府（しょうふ）とは

少府（しょうふ）は、古代中国に存在した官職の一つです。秦の時代に初めて設置され、主に皇室の財産管理や雑務を管轄していました。時代や王朝によってその役割や管轄範囲は変化しましたが、常に皇室を支える重要な職務を担っていました。

秦・前漢・新の時代の少府

少府は九卿の一つとして位置づけられ、「山海地澤」の税（禁銭）と皇室の雑務を管轄していました。前漢も秦の制度を踏襲し、6人の丞を擁していました。

少府の属官

少府には、以下のような属官がありました。

尚書令
符節令
太医令
太官令
湯官令
導官令
楽府令
若盧令
考工室令
左戈令
居室令
甘泉居室令
左右司空令
東織令
西織令
東園匠令
庖人長
都水長
均官長
上林苑池監
中書謁者令
黄門令
鉤盾令
尚方令
御府令
永巷令
内者令
宦者令
各僕射、署長、中黄門

新の王莽の時代には、少府は共工と改称されました。

後漢の時代の少府

後漢の少府は、宮中の御物・衣服・珍宝・御膳を担当していました。秩禄は中二千石で、丞は1人でした。中常侍などの宦官の各職官に加え、侍中・尚書令・御史中丞のような政務の中枢を司る職官も係属していました。

後漢の少府の属官

太医令
太官令
守宮令
上林苑令
侍中
中常侍
黄門侍郎
小黄門
黄門令
黄門署長、画室署長、玉堂署長、丙署長
中黄門冗従僕射
中黄門
掖庭令
永巷令
御府令
祠祀令
鉤盾令
中蔵府令
内者令
尚方令
尚書令
尚書僕射
尚書
符節令
御史中丞
蘭台令史

三国時代の魏

三国時代の魏においても少府は存続しましたが、尚書台などの政務機関が独立したため、本来の皇室雑務を管轄する職官に回帰しました。

少府は、時代や王朝によって役割を変えながらも、常に皇室を支える重要な役割を果たした官職でした。

参考文献

班固『漢書』 巻19上 「百官公卿表」上
司馬彪『続漢書』「百官志三」
孟昭華・王涵編著『中国歴代国家機構和行政区画』中国社会出版社、2003年

もう一度検索