大麻山神社

大麻山神社（おおあさやまじんじゃ、たいまさんじんじゃ）

大麻山神社は、島根県浜田市三隅町に位置する神社です。古くは式内社として知られ、かつては郷社の社格を有していました。

祭神

主祭神は以下の通りです。

天日鷲命（あめのひわしのみこと）
猿田彦命（さるたひこのみこと）
大麻彦命（おおあさひこのみこと）（太玉命（ふとだまのみこと）とも）

また、蔵王権現、熊野権現、走湯権現、山王権現、白山権現も配祀されており、これらは五社権現として崇敬されていました。

歴史

元々、大麻山は双子山と呼ばれていましたが、仁和四年（888年）に神託により大麻山と改称され、朝廷に奏聞されました。寛平元年（889年）には、阿波国（現在の徳島県）板野郡の大麻山に鎮座する大神が勧請され、宇多天皇の勅許を得て社殿が建立されました。

神宮寺として尊勝寺が存在し、西の高野山と呼ばれるほどでしたが、天保七年（1836年）の長雨による地滑りによって、尊勝寺と大麻山神社は共に倒壊するという被害を受けました。さらに、明治五年（1872年）の浜田地震で再び被災し、廃仏毀釈の時代であったことも重なり、尊勝寺は再建されることなく廃寺となりました。

伝説

阿波国から大麻比古命に率いられた忌部族がこの地に移住してきたという伝説が残っています。大麻比古命は海を馬で渡り、山を舟で行ったと伝えられています。大麻山に入った大麻比古命は、周辺の小野の原に住んでいた小野族に対し、岩を投げつけて追い払ったとされています。須佐の高山まで逃れた小野族は反撃し岩を投げ返しましたが、その岩は大麻山の麓までしか届きませんでした。その後、仲裁者が現れ、小野族は小野に戻り、忌部族は大麻山を領分とすることで和解したと伝えられています。

『島根縣史』には、「太古井野村と大麻村との間で戦いが始まり、天馬が駆け巡った跡が印された石が、大麻山の中腹に今でも残っている」という記述があります。

参考文献

式内社研究会編『式内社調査報告 第二十一巻 山陰道４』皇学館大学出版部、1983
谷川健一編『日本の神々―神社と聖地 第七巻 山陰』白水社、 1985年
寺井実郎編『三隅地方の神話と伝説』三隅時報社、1960
酒井董美、萩坂昇『出雲・石見の伝説　日本の伝説48』角川書店、1980
島根県史編纂掛編『島根縣史 第２巻（国造政治時代）』名著出版、1972
三隅町誌編さん委員会『三隅町誌』1971

関連項目

島根県の観光地

外部リンク

* 玄松子の記憶

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