白山権現

白山権現とは

白山権現（はくさんごんげん）は、白山における山岳信仰と修験道が融合して生まれた神仏習合の神です。本地仏は十一面観音菩薩とされ、白山大権現、白山妙理権現とも呼ばれていました。神仏分離・廃仏毀釈が行われる以前は、全国各地の白山権現社で祀られていましたが、現在ではその多くが白山神社となっています。

起源

白山権現の起源は、717年（養老元年）に修験者である泰澄が白山の主峰である御前峰に登り、瞑想していた時に遡ります。その際、緑碧池（翠ヶ池）から十一面観音の垂迹である九頭龍王が現れ、自らを伊弉冊尊の化身であり、白山明神・妙理大菩薩であると名乗りました。これが白山修験の始まりとされています。

また、別山では聖観音菩薩の垂迹である宰官身の大行事権現が、大汝峰では翁姿の大己貴命（大汝権現）が泰澄に顕れたと伝えられています。これら三神（白山妙理権現、大行事権現、大汝権現）を合わせて白山三所権現と称します。さらに、白山修験が隆盛するにつれて、白山妙理権現の眷属として五王子権現も祀られるようになりました。

神仏習合と分離

白山権現は、白山頂上本社と白山寺白山本宮が本地と垂迹の関係にありました。神道においては、白山権現は伊弉冊尊であり、両神は白山比咩神と同一視されていました。しかし、1480年（文明12年）に白山寺白山本宮が加賀一向一揆の攻撃で焼失し、三ノ宮に移転した際、吉田神道の『大日本国一宮記』に「白山比咩神社、下社（本宮）伊弉冊尊、上社（三ノ宮）菊理媛、号白山権現」と記されたことがきっかけで、上社を白山頂上本社と誤認し、菊理媛神を白山比咩神や白山権現とする異説が広まりました。

明治維新による神仏分離・廃仏毀釈により、修験道に基づいた白山権現は廃され、多くの白山権現社は菊理媛神を祭神とする神道の白山神社となりました。加賀国の白山寺白山本宮は廃寺となり、白山比咩神社に、越前国の霊応山平泉寺も同様に廃寺となり、平泉寺[[白山神社]]に改組されました。美濃国の白山中宮長滝寺は廃寺は免れたものの、長滝白山神社と天台宗の長瀧寺に分離されました。

現在も白山権現を祀る寺院

現在では少数ですが、廃仏毀釈を免れて白山権現を祀る寺院も存在します。

自生山那谷寺（石川県小松市）
深雪山上醍醐寺（京都府京都市）
書写山円教寺（兵庫県姫路市）
金獅峰大乗寺（石川県金沢市）
医王山毛越寺（岩手県平泉町）

また、曹洞宗大本山永平寺では、年に一度、雲水（修行僧）による白山登山が行われ、白山頂上で法要が営まれています。修行僧が走って山頂を目指す姿は、一般の登山客を驚かせると言われています。

真言

白山権現の本地仏である十一面観音菩薩の真言を唱えることもあります。

オン マカ キャロニキャ ソワカ (Oṃ mahā kāruṇika svāhā)

この真言は、「オーン、大悲なる御方よ スヴァーハー」という意味になります。

その他

浄瑠璃や文楽では、誓いの言葉として「愛宕白山」という言葉が使われますが、これは愛宕[[権現]]と白山権現を指しています。

関連項目

白山 - 石川県と岐阜県にまたがる日本三霊山のひとつ。
白山信仰 - 白山に関わる山岳信仰。
白山神社 - 各地一覧

外部リンク

* 白山之記（現代版）石川県新情報府

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