天井桟敷 (劇団)

天井桟敷について

天井桟敷（てんじょうさじき）は、1960年代から1970年代にかけて活動した日本のアングラ演劇の代表的な劇団です。寺山修司が主宰し、演劇実験室という形で新しい演劇スタイルを探求したグループとして知られています。彼らの活動は、当時の演劇界に大きな影響を与え、多くのフォロワーが生まれるきっかけとなりました。

劇団名の由来と設立の背景

この劇団名は、フランスの映画『天井桟敷の人々』に由来しています。しかし、寺山修司はこの名に込めた意味について、「地下の世界ではなく、もっと高いところで自分たちを表現したい」という理想を持って命名したと語っています。劇団の初期メンバーには、九條映子、高木史子、東由多加、横尾忠則など、個性的で多彩な才能を持つ16人が揃いました。特に寺山は「退学・家出の扇動家」としての名声を持ち、多くの若者を引き付けました。

初期の公演と活動

天井桟敷の旗揚げ公演は1967年に行われた『青森県のせむし男』です。その後、劇団は『毛皮のマリー』や『書を捨てよ街へ出よう』といった注目作品で話題を集めていきます。また、1969年には日本初のアングラ専用劇場「天井桟敷館」を設立しました。この活動は、劇団が独自の作品を上演しながら、地域社会との関わりを深める一環として行われました。

海外への進出と影響

天井桟敷は、国内だけでなく海外でも活動を開始します。1969年には西ドイツでの公演を果たし、国際的な評価を受けるようになりました。彼らは観客参加型の演劇や書簡演劇など、新しい形式を取り入れることで観客との一体感を強めていきました。さらに、寺山のプロジェクトは映画化されたものもあり、劇団メンバーによる映画音楽の提供など、演劇の枠を超えた活動が展開されました。

劇団の包括的な活動と衝突

天井桟敷は、個性的な演出家や俳優が集い、独自のスタイルを確立しましたが、時には他の劇団とのトラブルもありました。1970年には唐十郎が主宰する状況劇場との間で暴力事件が発生し、寺山とその劇団員が逮捕される事態に発展します。このような出来事は、アングラ演劇の激しい競争を象徴するものでした。

終焉とその後

1983年、寺山修司が病気で亡くなると、天井桟敷は解散します。彼の死は日本の演劇界に大きな衝撃を与えました。解散後、多くの劇団員はJ・A・シーザーが設立した新たな劇団へ参加し、寺山の理念を受け継ぐ形で新たな活動を始めました。

天井桟敷は、その独自のスタイルや内容でアングラ演劇の先駆者として、今なお多くの人々に語り継がれています。彼らの作品と活動は、演劇界の新しい潮流を生み出し、次世代のアーティストたちにも大きな影響を与えました。

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