天北炭田

天北炭田の概要

天北炭田（てんほくたんでん）は、北海道道北の宗谷支庁に広がる炭鉱群を指します。この地域は、他の主要な炭鉱地域と比べると規模は小さく、最盛期でも12の炭鉱しか存在しませんでした。それでも、この地には日本曹達系の「日曹天塩炭鉱」や、稚内市の「曲淵炭鉱」があり、これらは規模が大きく、重要な役割を果たしました。

特に日曹天塩炭鉱は、豊富町に位置し、宗谷線が行き交う鉄道の沿線に造られたため、数千人規模の炭鉱集落が形成されていました。稚内市の曲淵炭鉱も、天北石炭鉱業と宗谷炭鉱の二つの会社によって運営され、多くの労働者がこの地で生活していました。

閉山とその影響

しかし、エネルギー革命の波が押し寄せた1971年、日曹天塩炭鉱を最後にこの地域の炭鉱はすべて閉山されることとなりました。この閉山に伴い、鉄道も廃止されたため、地域に住む人々は働き口を失い、厳しい冬を迎えることとなりました。その結果、多くの人々は集落を離れ、天北炭田はゴーストタウンと化してしまいました。現在、この場所にはかつての繁栄を示すものはほとんど残っておらず、廃墟だけが取り残されています。

現在の状況と地域活性化

幸いなことに、天北炭田がある地域は宗谷本線の沿線に位置しているため、自治体は酪農や観光、水産業などの分野で地域の活性化に取り組んでいます。しかし、他の道内の市町村と同様に過疎化や高齢化が進行しており、今後の課題が山積しています。

新たな技術への取り組み

2017年12月には、北海道科学技術総合振興センター（ノーステック財団）が、幌延の研究所で採取した天北炭田の褐炭を活用し、微生物「メタン菌」を用いてメタンガスを生成する技術をイギリスの学術誌にて発表しました。これにより、2018年度から炭田の褐炭を使用してメタンガスを取り出す実験が行われることになり、炭田の新たな利用法が期待されています。

主要な炭鉱

天北炭田には、日曹天塩炭鉱以外にも、曲淵炭鉱、さらに猿払村等にも小規模な炭鉱が存在しました。これらの炭鉱群は、かつての地域経済を支える重要なインフラでしたが、いまはその姿を消しています。地域の歴史と未来に向けて、どのように持続可能な発展を図っていくのか、地域住民と自治体の取り組みが注目されています。

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