天北線

天北線：北海道を駆け抜けた鉄路の記憶

天北線は、かつて北海道に存在した、日本国有鉄道（国鉄）および北海道旅客鉄道（JR北海道）が運営していた鉄道路線です。その路線は、音威子府駅から浜頓別駅を経由し、南[[稚内駅]]へと至る148.9kmに及び、最盛期には30もの駅が点在していました。この路線は、単線非電化で、タブレット閉塞式という方式で列車運行を管理していました。しかし、1989年5月1日、その長い歴史に幕を閉じました。

天北線の誕生と変遷

天北線の歴史は、宗谷本線の建設に深く関わっています。当初、南樺太への連絡鉄道として計画された宗谷本線は、音威子府から稚内へ向かう際、天塩線よりも距離が長いものの、浜頓別の開拓のために北見線ルートが選ばれました。1922年には稚内まで全通しましたが、1926年に天塩線が全通すると、1930年には北見線として分離されました。

その後、1961年に北見線は天北線へと改称されました。これは、路線の名前が敷設されていた地域の旧国名である「天塩国」と「北見国」から取られたものです。しかし、1980年代に入ると、国鉄の財政状況が悪化し、天北線もその影響を受けることになります。

廃止への道

1980年に国鉄再建法が成立すると、天北線は第2次特定地方交通線に指定され、廃止の危機に直面しました。当初、冬季の代替輸送の困難さから廃止が見送られましたが、1985年には廃止が承認され、1989年5月1日に全線が廃止となりました。

天北線の廃止は、当時としては珍しく、急行列車が運行されていた状態で全線が廃止された事例となりました。これは、国鉄・JRの歴史の中でも特筆すべき出来事でした。

天北線の詳細データ

• - 路線距離: 音威子府駅 - 浜頓別駅 - 南[[稚内駅]]間 148.9 km
• - 駅数: 30駅 (起終点駅を含む)
• - 軌間: 1,067 mm（狭軌）
• - 電化方式: 全線非電化
• - 閉塞方式: タブレット閉塞式（併合閉塞は票券閉塞式）
• - 交換可能駅数: 7駅

これらのデータからも、天北線が地域の重要な交通手段であったことが伺えます。

天北線の歴史年表

天北線の歴史を年表形式で振り返ります。

• - 1914年: 宗谷線として音威子府駅 - 小頓別駅間が開業。
• - 1922年: 宗谷線が稚内駅まで全通。
• - 1930年: 天塩線が宗谷本線に編入、音威子府駅 - 稚内駅間が北見線として分離。
• - 1961年: 北見線が天北線に改称。
• - 1985年: 第2次特定地方交通線として廃止承認。
• - 1989年: 全線廃止。

列車運行と駅の様子

天北線では、急行「天北」が札幌と稚内を結んでいました。また、普通列車は、音威子府駅と稚内駅の間を直通する列車や、区間列車が運行されていました。

駅には、交換設備を持つ駅や、閉塞扱いを行う駅員が配置されている駅もありました。しかし、路線の末期には無人化が進み、多くの駅が出札・改札業務を停止していました。

廃止後の代替バスと現状

天北線の廃止後、代替バスが運行されましたが、利用客の減少が進み、路線の見直しや廃止が繰り返されました。現在では、一部区間でデマンドバスや乗合タクシーが運行されていますが、鉄道が担っていた役割を完全に代替することはできていません。

さらに、天北線の路盤跡の一部は「北オホーツクサイクリングロード」として整備されましたが、老朽化やヒグマの出没により、一部区間は長期通行止めとなっています。

天北線の記憶

天北線は、北海道の北の大地を駆け抜けた鉄路として、多くの人々の記憶に残っています。その廃線跡は、かつての鉄道の姿を今に伝え、地域の歴史を語り続けています。

天北線の歴史を振り返ることは、地方の鉄道が担っていた役割や、その変遷を考える上で、非常に重要な意味を持っています。

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