北見国

北見国：北海道北東部の歴史と文化

北見国は、戊辰戦争（箱館戦争）終結後の明治2年（1869年）、大宝律令の国郡里制を踏襲して設置された令制国の一つです。別名「北州」と呼ばれ、北海道（令制）に含まれていました。現在の北海道オホーツク総合振興局と宗谷総合振興局のほぼ全域（幌延町と豊富町を除く）を領土とし、当初は釧路国の網尻郡（現在の美幌町、津別町、大空町の一部）が含まれていませんでした。

名称の由来

北見国の名称は、幕末から明治にかけて活躍した探検家、松浦武四郎の提案によるものです。1870年（明治2年）に政府に提出した「国名建議書」で、北海岸に位置し、天候の良い日には樺太島を視認できることから「北見」を提案、それが採用されました。

歴史

古代から中世

飛鳥時代には、阿倍比羅夫が『日本書紀』に記される粛慎と戦った地とされる弊賂弁嶋が、樺太または北見国域にあったと推測されています。この地域はオホーツク文化圏に属しており、モヨロ貝塚や常呂遺跡などの遺跡が知られています。平安時代前期には擦文文化が道北に進出し、オホーツク文化はトビニタイ文化へと変化していきました。鎌倉時代後期には、仏教の布教が盛んになり、日蓮宗の僧・日持上人が樺太に渡っています。また、当時蝦夷統括権を持っていた安東氏が樺太アイヌを率いて元と戦ったとする説もあります。室町時代には、樺太アイヌから瓦硯がもたらされたという記録が残っています。

江戸時代

江戸時代には、松前[[藩]]の支配下に入り、「場所」と呼ばれる交易拠点が設けられました。松前[[藩]]家臣とアイヌの人々の交易が行われ、アイヌの有力者は役職に任命され、撫育政策（オムシャ）の一環として扶持米が支給されていました。交易の場所と後の郡の対応は以下の通りです。

リイシリ場所：利尻郡、礼文郡
ソウヤ場所：宗谷郡、枝幸郡
モンベツ場所：紋別郡、常呂郡
アバシリ場所：網走郡
* シャリ場所：斜里郡


陸上交通は、沿岸部を中心に発達し、18世紀には、釧路国から斜里郡に至る斜里山道や、釧路国から網走に至る網走越などが開削されました。海上交通は、北前船による交易が盛んに行われました。また、正保御国絵図（1644年）や蝦夷全図（1700年）などが作成されています。


18世紀後半からは、ロシアの南下政策が脅威となり、蝦夷地は公議御料（幕府直轄領）となり、会津[[藩]]や秋田藩などが警備に当たりました。この頃、ロシアによる樺太への襲撃事件（文化露寇）も発生しています。間宮林蔵による樺太探査や、間宮海峡の発見などもこの時代に行われました。

明治時代以降

明治2年（1869年）には開拓使領となり、当初は道外の複数の藩によって分領支配されましたが、明治4年（1871年）に廃[[藩置県]]により開拓使の管轄となりました。明治5年（1872年）には壬申戸籍が編製され、戸長・副戸長が設置されました。その後、郡区町村編制法の施行や廃使置県を経て、現在の北海道の行政区域へと移行していきます。明治31年（1898年）には、北見国で徴兵制度が施行されました。

北見国の施設

寺院

安政3年（1856年）に宗谷郡に泰平山松寿院護国寺（宗谷護国寺）が開山されました。

神社

享保年間創建の北見冨士神社、天明5年（1785年）創建の北門神社、寛政8年（1796年）創建の斜里神社などがあります。特に北部四郡（利尻郡、礼文郡、宗谷郡、枝幸郡）には古くからの神社が多く残っています。網走神社は、文化9年（1812年）に創建され、北見国一宮と称されています。

北見国の地理

北見国は、利尻郡、礼文郡、宗谷郡、枝幸郡、紋別郡、常呂郡、網走郡、斜里郡の8郡で構成されていました。

人口

明治5年（1872年）の人口は約1511人でした。

まとめ

北見国は、北海道の北東部に位置する、歴史と文化の豊かな地域です。アイヌ文化との交流、ロシアとの国境問題、明治時代の開拓など、数々の歴史的出来事を経験し、現代の北海道の発展に貢献してきました。 この地域の歴史を知ることは、北海道全体の歴史を理解する上で重要な要素となります。

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