天国から来たわんちゃん

映画『天国から来たわんちゃん』の背景とストーリー

『天国から来たわんちゃん』（英題：All Dogs Go to Heaven）は、1989年11月17日に公開されたアニメ映画で、ドン・ブルースが手掛けました。この作品の舞台は1939年のニューオーリンズ。ディズニー出身のアニメーターによって製作された本作は、イギリスの投資家ゴールドクレストの資金に支えられ、アイルランドのサリヴァン＝ブルース・スタジオで制作されました。公開当時、ディズニーの『リトル・マーメイド』と競合したため、当初の期待ほどのヒットには至りませんでしたが、家庭用メディアでの人気が高まり、続編やテレビシリーズの制作に繋がりました。

制作の経緯

本作のコンセプトは、『ニムの秘密』を完成させたあと、ドン・ブルースが考え始めました。彼は犬の私立探偵を主人公にした短編作品を構想していましたが、その時期にスタジオが苦境に立たされ、実現には至りませんでした。その後、ブルースは構想を改訂し、1987年にジョン・ポメロイとゲイリー・ゴールドマンと共に『天国から来たわんちゃん』として再編成しました。この作品には、映画『素晴らしき哉、人生!』や『可愛いマーカちゃん』などからの影響が見受けられます。タイトルの由来は、ブルースが小学校4年生の頃に読んだ本から取られています。

映画の主役であるチャーリーとイッチーの声優を務めたバート・レイノルズとドム・デルイーズは、共演歴があり、収録を一緒に行いたいと希望していました。通常、アメリカのアニメでは声優は別々に収録されることが多いですが、ドン・ブルースは二人の即興演技を受け入れ、その結果、彼は後に「彼らのアドリブは時に原作よりも優れていた」と振り返っています。

物語の概要

物語は、1939年のアメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズが舞台です。雑種のシェパード犬チャーリーとブルドッグのカーフェイスは犬用のカジノを経営していました。しかし、カーフェイスは利益を独占したいと考え、チャーリーを陥れて犬用の刑務所に送り込みます。その後、チャーリーと彼の相棒であるダックスフンドのイッチーは脱獄し、再びカジノに戻りますが、カーフェイスの悪だくみにより、チャーリーは車ごと川に投げ込まれ、命を落とします。死後の世界でチャーリーは犬の天国に行くものの、カーフェイスへの復讐を誓い、再び地上に戻ることになります。彼は自分の命の時計を奪って、二度目の人生を歩むことになります。

登場キャラクター

• - チャーリー・B・バーケン: 主人公のジャーマンシェパードとコリーの雑種犬。バート・レイノルズの声で表現され、彼の特徴が反映されています。
• - イッチー・イッチーフド: チャーリーの親友であるダックスフンド。臆病な性格で、いつもノミに悩まされています。
• - アン・マリー: 動物と話す能力を持つ孤児の少女。チャーリーによって助け出されます。
• - カーフェイス・カルザース: 元カジノの共同経営者で、チャーリーを陥れたブルドッグ。

音楽とメッセージ

本作の主題歌「Love Survives」は、主人公のアン・マリーに捧げられた曲であり、映画の感動を高める大きな要素となっています。また、映画制作の過程では、子ども向けとしては刺激が強すぎるとの理由から、一部のシーンが削除されるなどの調整が行われました。

続編と影響

『天国から来たわんちゃん』の成功を受けて、続編やテレビシリーズが制作されましたが、これらはドン・ブルースが関与していないため、キャラクターや内容に変更が加えられています。続編は主にコメディ要素が強調されており、1作目の持つドラマティックな要素とは異なる雰囲気を醸し出しています。

この映画は、友情や復讐、愛のメッセージを通じて、多くの視聴者の心に残る作品となっています。

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