天国の駅 HEAVEN STATION

天国の駅 HEAVEN STATION (1984)

『天国の駅 HEAVEN STATION』は、1984年に公開された日本映画。吉永小百合が主演を務め、出目昌伸が監督、早坂暁が脚本を担当。戦後初の女性死刑執行者となった「ホテル日本閣殺人事件」をモデルにした作品です。

概要

1952年から1960年にかけて二人の夫を殺害し、世間から「毒婦」と非難された女性をモデルに、早坂暁が吉永小百合を想定してオリジナルシナリオを書き下ろしました。吉永小百合は、これまで演じたことのない悪女役に挑戦し、大きな話題となりました。また、三浦友和も従来のイメージを覆す悪役を演じ、役者としての転換期を迎えました。

あらすじ

昭和30年春。結城紬の織女である林葉かよは、下半身麻痺の夫との間に冷え切った関係を抱えていました。そんな中、巡査の橋本と出会い、深い仲になります。しかし、浮気を知った夫から激しい暴力を受け、かよは夫を毒殺。その後、かよの世話で東京の大学に通うようになった橋本は、幸子という女性を連れて帰ってきます。橋本とかよは、幸子を騙していたことを知り、橋本に手切れ金を渡します。妙な連帯意識で結ばれた二人は錦谷温泉郷にたどり着き、かよは土産物店、幸子は芸者として働き始めます。かよに想いを寄せる知的障害者の田川一雄も現れ、温泉宿の主人・福見はかよを大切にします。しかし、橋本が金をせびりに来たことで事件が起こり始めます。

福見には精神病院に入院している妻がおり、かよに危害が及ぶことを恐れた一雄は、福見にそそのかされて妻を殺害。その後、かよと一雄は結婚しますが、幸子は橋本に殺されてしまいます。復讐を誓うかよは橋本と会おうとしますが拒絶され、福見も一雄を邪魔に思い殺害しようとします。しかし、かよは逆に福見を殺害。「神様よりも雪よりもきれい」だと言う一雄こそが真実の愛だと悟ったかよは、一雄と共に逃亡。しかし、五十沢刑事らに駅で待ち伏せされ、逮捕されます。「なぜ二人も夫を殺したのか」と問われたかよは、「愛が欲しかった」と答えます。昭和45年6月11日、かよは小菅拘置所で死刑を執行され、47歳でその生涯を終えました。

キャスト

林葉かよ：吉永小百合
田川一雄：西田敏行
橋本浩一：三浦友和
幸子：真行寺君枝
福見辰江：白石加代子
五十沢刑事：丹波哲郎
福見康治：津川雅彦

スタッフ

監督：出目昌伸
脚本：早坂暁
音楽：矢野誠
* 主題歌：吉永小百合

評価

本作は、吉永小百合がこれまでの清純派イメージを覆し、悪女役に挑戦したことで大きな話題となりました。興行的にも成功を収め、吉永小百合の代表作の一つとなりました。また、各映画賞で吉永小百合が主演女優賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

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