天国注射の昼

天国注射の昼：日本のインディーズロック史に輝く伝説のイベント

「天国注射の昼」は、1980年代初頭に東京都新宿区歌舞伎町にあったバー「HAVANA MOON」と自販機雑誌『HEAVEN』が共催したコンサートであり、日比谷野外音楽堂を中心に開催されました。今日では、日本のインディーズロックシーンにおける、最も前衛的で重要なイベントの一つとして知られています。

イベントの背景

イベントの前身となったのは、『HEAVEN』が主催したオールナイトイベント「天国注射の夜」（1980年6月6日、11月21日/新宿ACB会館）でした。これらのイベントが好評を博したことを受け、より大規模なコンサートとして「天国注射の昼」が企画されました。

「天国注射の昼」は、『HEAVEN』の創刊者である高杉弾の発案によって生まれました。1980年6月6日に新宿ACB会館で開催された「天国注射の夜」が、コンサートシリーズへと発展したのです。夜と昼を合わせて、合計5回開催されました。

特に大きな成功を収めたのは、1983年8月21日に開催された4回目のイベントでした。このイベントでは、舞踏家の宇野萬が、4週間前から歩行者天国で金粉ショーの路上パフォーマンスを行い、道路交通法違反で検挙されるという騒動も起きました。

ビデオ化とその後

1984年1月には、東映ビデオから8月21日と9月17日のライブを収録したビデオソフトが発売されました。しかし、現在では廃盤となっています。

近年、ライブの未発表フィルムが発掘され、2007年頃には映像のデジタル化とDVD再発の企画が進められましたが、様々な事情により実現には至りませんでした。一方で、2009年には割礼とコクシネルのライブの一環として、未発表映像の上映会が行われました。

参加アーティスト

「天国注射の昼」には、数多くの個性的なアーティストが参加しました。山崎春美&タコ、灰野敬二、白石民夫、工藤冬里、竹田賢一、非常階段、江戸アケミ&じゃがたら、Phew、近藤達郎、巻上公一&ヒカシューなど、日本のアンダーグラウンドシーンを代表するミュージシャンたちが名を連ねています。また、筋肉少女帯の大槻ケンヂは、当時このビデオを見て大きな影響を受けたと語っています。

公演リスト

天国注射の夜 Vol.1 / 1980年6月6日 新宿ACB会館
天国注射の夜 Vol.2 / 1980年11月21日 新宿ACB会館
天国注射の昼 Vol.3 / 1981年8月15日 日比谷野外音楽堂
天国注射の昼 Vol.4&5 / 1983年8月21日&9月17日 日比谷野外音楽堂
天国注射の夕べ / 2001年12月8日 法政大学学生会館大ホール
21世紀 天国注射の朝と夜 / 2008年10月11日 SPACE雑遊
* 天国注射の宴 / 2008年10月12日 SPACE雑遊

「天国注射の昼」は、単なる音楽イベントという枠を超え、時代の空気や社会に対するメッセージを表現する場でもありました。その革新的な試みは、後の日本の音楽シーンに大きな影響を与え、今もなお語り継がれる伝説となっています。

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