天城 (雲龍型空母)
天城航空母艦
天城（あまぎ）は、日本海軍の雲龍型航空母艦の2番艦であり、その艦名は静岡県の天城山から名付けられました。本艦は、明治時代に建造されたスループ艦や未完成だった巡洋戦艦天城の名を引き継いでおり、これで3隻目となります。他に候補名だった那須の名もありました。
機関と役割
天城の機関は改鈴谷型重巡洋艦からの流用品を使用しており、設計や搭載機の準備は進められていましたが、実際には出撃の機会は一度もありませんでした。燃料も航空機も不足していたため、呉軍港で待機していた間に、輸送任務や復員輸送任務に参加することもありませんでした。最終的に1945年3月19日に呉軍港が空襲を受けると損傷を受け、続いての空襲で大破しました。水を止めることができず、三ツ子島海岸で転覆する運命を辿りました。終戦後、浮揚され解体されました。
建造と太平洋戦争
天城は1941年に始まったマル急計画に基づいて迅速に建造が進められました。1942年10月1日に三菱重工業長崎造船所で起工され、1944年8月10日に竣工しました。その時点で天城は第3艦隊に配属され、第一航空戦隊の旗艦となりましたが、当時の日本海軍は深刻な補給問題に直面していました。
予定されていた航空隊は戦局の変遷により運用されなかったため、天城はその使命を全うすることなく待機していました。1945年に入ると、天城は再編成され第2艦隊に参加することになりますが、爆撃により小破し、最終的には横浜に寄港し浮き砲台としての役割を担うこととなりました。
空襲と沈没
1945年7月24日と28日の空襲で、天城は更に深刻なダメージを受けることになりました。人員が不足していたため、損傷の応急処置がままならず、最終的に浸水が増大し、1945年7月29日に横転着底しました。水深の浅い海域にいたため、全没することはありませんでしたが、回復は不可能とされ、除籍されることが決定されました。
戦後の解体
戦後、1946年12月5日に播磨造船所にて解体作業が開始されました。艦体は左に61度傾いた状態で引き起こされ、浸水があったため水中での発破作業やポンプを使い浮揚作業が行われました。1947年7月31日に浮揚が成功し、同年12月11日に解体が完了しました。天城の一部は当時の運輸省に譲渡され、青函連絡船の修理に使用されましたが、最終的にはスクラップとして解体されることとなりました。
年表
- - 1942年（昭和17年）
- - 1943年（昭和18年）
- 10月15日：進水
- - 1944年（昭和19年）
- - 1945年（昭和20年）
- 3月19日：呉で空襲を受け小破
- 7月24日及び28日：米軍空襲による多数の爆弾が命中
- 7月29日：横転着底、除籍
- - 1946年（昭和21年）
- - 1947年（昭和22年）
天城はその短い歴史の中で、当時の海軍の状況や困難な戦局を色濃く反映する艦でした。
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