天外魔境III NAMIDA

天外魔境III NAMIDA：波乱の開発から生まれた、壮大なRPG冒険譚

2005年4月14日、ハドソンよりPlayStation 2用ソフトとして発売された『天外魔境III NAMIDA』。ロールプレイングゲーム（RPG）として、長年のファン待望のシリーズ最新作は、発売までには数々の困難を経験しています。

波乱の開発史：幾多のプラットフォーム変更

当初はSUPER CD-ROM²での開発が発表されましたが、後にPCエンジン用周辺機器『アーケードカード』の発表を受け、アーケードカード専用ソフトへと変更。1995年6月頃には、前作を担当した桝田省治氏によるシナリオが完成しました。しかし、当時既にPlayStationやセガサターンといった次世代機の時代が到来しつつあったため、PC-FX向けソフトとして開発プラットフォームが変更されます。しかし、PC-FXの普及率の低さから開発は中断、事実上の発売中止となりました。

その後も、『天外魔境III』の発売を望むファンの声は根強く、発売運動も起こりましたが、権利を有するハドソンは沈黙を貫きました。開発者である桝田氏や広井王子氏も「決定権はハドソンにある」と発言するのみで、ファンからは諦めムードが漂い始めました。

2002年10月頃、桝田氏が代表を務めるMARSの公式サイトで、桝田氏本人が「天外魔境シリーズに関わらない」という著作権者との合意が発表されました。これは、ハドソンが天外魔境シリーズの権利関係を整理し始めていることを示唆する出来事でした。

翌年6月、PlayStation 2とゲームキューブ向けソフトとして『天外魔境III NAMIDA』の2004年春発売が発表されましたが、PC-FX版とは異なる新規シナリオで、開発チームも変更されることが発表されました。しかし、開発状況や『天外魔境II 卍MARU』のリメイク版の販売状況を鑑み、ゲームキューブ版の開発は中止され、PlayStation 2一本に絞り込まれ、2005年4月の発売に至りました。

ストーリー：記憶喪失の少年と、迫りくる脅威

舞台はジパングの西に位置する九洲地方。九つの島から成るこの地は、ジパングの危機を救ってきた火の一族の故郷です。かつて、九洲を悪しき力が支配していましたが、火の巫女・ヒミコが竜宮より持ち帰った神鏡の力によって、悪は封印されました。

物語は、高千穂村の浜辺に流れ着いた記憶喪失の少年・ナミダから始まります。壱与という少女に助けられたナミダは、以後壱与と共に暮らします。17歳になったナミダは、村の祭りの儀式の担い手として神鏡を運ぶことになりますが、その最中に神鏡が割れてしまい、封印されていた邪悪な存在・アミが復活してしまいます。そして、壱与がアミの一人であるイチモツにさらわれてしまうのです。ナミダは、さらわれた壱与を救うため、そしてジパングを守るため、壮大な冒険へと旅立ちます。

戦闘システム：奥深い戦略性と爽快感

本作の戦闘は3D空間で行われ、敵味方が戦闘画面で視認できます。攻撃は、選択した敵の周囲の敵にも巻き込むことが可能です。最大3人のパーティーメンバーで戦闘を行い、隊列コマンドでメンバーを入れ替えることもできます。戦闘メンバー全員が瀕死状態になるとゲームオーバーとなります。

武器による攻撃に加え、巻物による術、熟練度を上げることで習得できる技能・奥義を使用できます。奥義には、他のキャラクターの奥義と連携する「奥義連鎖」システムもあります。技能や奥義は、レベルアップやアイテム、イベントなどで取得できます。

登場人物：個性豊かなキャラクターたちが織りなすドラマ

本作には、記憶喪失の主人公ナミダ、火の巫女の才能を持つ壱与、くノ一のツグミ、坊主の牛坊主、宇宙からの生命体トンカラリンなど、個性豊かなキャラクターが登場します。他にも、土地神ミヤ、弓の名手為朝、鬼族の鬼一番、鬼丸、様々なアミたちなど、魅力的なキャラクターたちが物語を彩ります。

スタッフ：豪華スタッフ陣による、集大成的作品

本作には、広井王子氏を企画・監修に迎え、加藤和彦氏を音楽監督に迎えるなど、豪華スタッフ陣が参加しています。主題歌は、サラ・ブライトマンが歌っています。

関連作品：小説、攻略本、サウンドトラックなど

本作は、小説や攻略本、サウンドトラック、ドラマCD、メイキングDVDなど、様々な関連作品も発売されました。

まとめ

『天外魔境III NAMIDA』は、数々の困難を乗り越えて発売された、シリーズファン待望のRPGです。魅力的なキャラクター、奥深いゲームシステム、そして豪華スタッフ陣が織りなす壮大なストーリーは、プレイヤーを冒険の世界へと誘います。長年のファンはもちろん、初めてプレイする人にとっても、忘れられない冒険となるでしょう。

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