天崇寺 (上越市)

天崇寺：上杉謙信ゆかりの高田の古刹

新潟県上越市の中心部に静かに佇む天崇寺（てんそうじ）は、浄土宗の教えを伝える歴史ある寺院です。

寺院の起源と変遷

天崇寺の始まりは、戦国時代の天正10年（1582年）に遡ります。越後の虎として知られる戦国武将、上杉謙信公が開基したと伝えられています。当初、この寺院は現在の名称ではなく、「長恩寺」という名で呼ばれ、春日山の麓に伽藍を構えていました。

江戸時代に入り、慶長19年（1614年）には松平忠輝によって高田城が築城され、それに伴って城下町が整備されることになりました。この都市計画の一環として、長恩寺は春日山麓から現在の場所へと移転しました。高田のまちの歴史と共に歩みを進めた寺院と言えるでしょう。

さらに時代が下り、明治時代になると、長恩寺は同じく上杉謙信公が開基したとされる「極楽寺」と合併する運びとなります。この合併を機に、寺院の名称は現在の「天崇寺」へと改められました。二つの由緒ある寺院が一つとなり、その歴史と伝統を受け継いで現在に至っています。

境内の見どころとゆかりの人物

天崇寺の境内には、歴史的な重要人物の墓所が静かに存在しています。

特に noteworthy なのは、江戸幕府二代将軍である徳川秀忠公の三女にあたる天崇院（てんそういん）様のお墓です。天崇院様は越前福井藩主松平忠直公の正室となられましたが、夫の蟄居後は実家である徳川家の庇護のもと、江戸やこの高田の地で過ごされました。そして、寛永14年（1637年）に天崇院様が高田でその生涯を終えられた際、この天崇寺に手厚く葬られたと伝えられています。これは、当時の高田藩と徳川将軍家との深い関係を示す貴重な史実です。

また、天崇院様の長女であり、宮家の一つである高松宮好仁親王（たかまつのみや・よしひとしんのう）の妃となられた亀姫（かめひめ）様のお墓も、母である天崇院様のお墓に並んでこの寺院にあります。母娘が同じ寺院に葬られていることは、ここ高田の地が彼女たちにとって特別な場所であったことを物語っています。

さらに、天崇寺には歴史的な建造物として、上越市指定文化財となっている山門があります。この山門は、長い年月を経てきた風格を感じさせ、寺院の歴史を今に伝える貴重な存在です。訪れる人々に、かつての高田の歴史や寺院の歩みを静かに語りかけているようです。

アクセス

天崇寺へのアクセスは、比較的容易です。公共交通機関を利用する場合、JR高田駅から徒歩でおよそ14分程度の距離に位置しています。

まとめ

天崇寺は、上杉謙信の開基という起源を持ち、高田城築城に伴う移転、そして他の謙信ゆかりの寺院との合併を経て、現在の姿となりました。徳川将軍家や皇室とも繋がる歴史上の人物の墓所を有し、上越市の指定文化財である山門を持つなど、歴史的な見どころが豊富です。高田のまちの歴史と共に歩んできた古刹として、静かに、しかし確かにその存在感を示しています。本寺院の詳細については、関連する歴史文献や公式情報を参照することも可能です。

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