天暦 (元)

天暦（てんれき）は、中国の元朝において、文宗トク・テムルと明宗コシラの治世で使用された元号です。具体的には、1328年から1330年までの期間を指します。モンゴル語の史料では、「Ten-li」と転写されています。

改元の経緯

天暦元年（1328年）9月13日に、それまでの元号である「致和」から改元されました。この背景には、文宗トク・テムルが天順帝アリギバに対抗して即位したという政治的な事情があります。つまり、天暦への改元は、新たな皇帝の即位を示すとともに、政治的な対立と権力交代を象徴する出来事だったと言えるでしょう。

至順への改元

天暦3年（1330年）5月8日には、元号は「至順」へと再び改元されました。この改元の理由は明確には記録されていませんが、政治情勢の変化や新たな皇帝の意向などが考えられます。

西暦・干支との対照表


天暦の意味

元号は、単なる年号としてだけでなく、その時代の政治や社会の状況を反映するものでもあります。「天暦」という元号には、天の暦、つまり天の運行に基づいた正しい政治を行うという意味が込められていると考えられます。しかし、実際には、天暦の時代は、皇帝の交代や元号の変更が頻繁に行われるなど、政治的に不安定な時期でもありました。

参考文献

渡部洋, 松川節, 小野浩, 古松崇志, 石野一晴, 毛利英介, 伴真一朗, 清水奈都紀「漢文・モンゴル文対訳「達魯花赤竹君之碑」(1338年)訳註稿」『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第29巻、大谷大学真宗総合研究所、2012年3月、107-238頁

関連項目

その他の天暦 (同名の元号)

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