天木直人

天木直人：反骨の外交官、政治活動家

天木直人（あまき なおと）氏は、1947年生まれの外交評論家、作家、そして政治運動家です。元駐レバノン日本国特命全権大使という経歴を持ち、そのキャリアを通じて、日本の外交政策や政治に独自の視点から関わってきました。インターネット政党「新党憲法9条」の発起人としても知られています。

外交官としてのキャリア

山口県下関市で生まれた天木氏は、洛星高等学校から京都大学法学部に進学。大学在学中に外交官試験に合格し、外務省に入省しました。同期には谷内正太郎、田中均、高須幸雄、藤崎一郎、重家俊範など、後に日本の外交を担う人物たちがいました。

外務省では、英語研修（米国オベリン大学）、在ナイジェリア大使館、経済局、外務省大臣官房、ジュネーブ国際機関代表部、在サウジアラビア大使館など、様々な部署で勤務。1985年から1988年までは、外務省中近東アフリカ局アフリカ第2課長として、南アフリカのアパルトヘイト問題に関する著書『マンデラの南ア 日本の対応』を出版しました。その後も、内閣官房内閣安全保障室内閣審議官、駐マレーシア公使、駐オーストラリア公使、駐カナダ公使、駐デトロイト総領事などを歴任しました。

レバノン大使「解任」事件

2001年から駐レバノン日本国特命全権大使を務めていた天木氏ですが、2003年、イラク戦争開戦前後に、対イラク政策を巡る意見を記した2通の公電を川口順子外務大臣に送ったことがきっかけで、外務省を事実上「解雇」されたと主張しています。外務省は「勇退をお願いした」と説明していますが、天木氏はこの件を不当な扱いとして告発し、その内情を暴露した著書『さらば外務省！ - 私は小泉首相と売国官僚を許さない -』はベストセラーとなりました。この著書では、外務省の機密費問題など、様々な疑惑も指摘されています。

政治活動

外務省退職後、天木氏は政治活動を本格化させます。2005年には、小泉純一郎首相の選挙区である神奈川11区から衆議院議員選挙に無所属で立候補しましたが、落選。2007年には、9条ネットから参議院議員選挙に出馬しましたが、これも落選に終わりました。

その後、インターネット政党「ネットdes新党」の結成に参加し、共同代表を務めました。2015年には、「新党憲法9条」を立ち上げ、ホームページを公開。この党は、「グーグル検索を新党憲法9条で埋め尽くす」というネット戦略を掲げ、天木氏の活動を支援しています。2019年には、新党憲法9条は「オリーブの木」という政党連合に参加しました。2017年と2019年の衆参両院選挙にも出馬しましたが、いずれも落選しています。

主義・主張と活動

天木氏は、外交問題や政治に対して独自の視点を持っており、その主張は多岐にわたります。2014年には、朝日新聞の「吉田調書報道」を評価しつつも、その後の報道の誤りに対するバッシングは不当であると主張しました。また、アメリカの外交政策に対しては批判的な立場を取っており、CIAを「殺人機関」とまで非難しています。2009年からは、有料メールマガジン「天木直人のメールマガジン」を発行し、自身の考えを積極的に発信し続けています。

著書

天木氏は、数多くの著書を執筆しており、その中には以下のようなものがあります。

『マンデラの南アフリカ共和国南ア 日本の対応』（1995年）
『さらば外務省！ 私は小泉首相と売国官僚を許さない』（2003年）
『アメリカの不正義 レバノンから見たアラブの苦悩』（2003年）
『さらば小泉純一郎！ 国民の生命を無視する冷血、傲慢、厚顔宰相を許さない』（2004年）
『マンデラの南アフリカ アパルトヘイトに挑んだ外交官の手記』（2004年）
『ウラ読みニッポン 新聞ではわからないことがわかる本』（2005年）
『外交力でアメリカを超える 外交官がたどり着いた結論』（2006年）
『怒れ、9条！ - 憲法9条こそ最強の安全保障政策だ』（2007年）

まとめ

天木直人氏は、外交官としてのキャリア、外務省との対立、そして政治活動を通じて、日本の外交と政治に対して独自の視点から問題提起を続けています。その活動は、時に論争を呼びますが、多くの人々に影響を与え続けています。彼の著書やメールマガジンを通じて、天木氏の主張に触れることができるでしょう。

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