重家俊範

重家俊範（しげいえ としのり）

プロフィール

重家俊範は、1945年6月3日に広島県（現：東広島市）で生まれた日本の外交官です。修道中学校・高等学校を経て、1969年に一橋大学経済学部を卒業しました。大学時代は国際部で英語劇を経験し、板垣與一ゼミに所属していました。ゼミの同期には、辻本甫（駐UAE大使）や小野正昭（駐メキシコ大使）がおり、先輩には岡本行夫（内閣総理大臣補佐官）、後輩には岡本毅（東京ガス社長、日本経団連副会長）など、各界で活躍する人物がいました。

外務省入省と初期のキャリア

1969年に外務省に入省し、同期には谷内正太郎（外務事務次官）、田中均（外務[[審議官]]）、藤崎一郎（駐米大使）、飯村豊（駐フランス大使）、宮本雄二（駐中国大使）、天木直人（駐レバノン大使）など、後の外交を担う人材がいました。重家氏は、温和で紳士的な人柄と評されています。

アメリカとの関係

重家氏は、アメリカンスクール出身で、北米局安全保障課長、米ハーバード大学国際問題研究所フェロー、国際連合日本代表部公使、在アメリカ合衆国大使館特命全権公使などを歴任し、アメリカ政府内の人物との関係を構築しました。

沖縄担当大使と在日米軍再編

2006年には沖縄担当特命全権大使に就任し、在日米軍再編問題に取り組みました。特に、在日米軍普天間飛行場のヘリコプター飛行経路の再検討について、日米合意をまとめました。

中東アフリカ局長時代

2001年には中東アフリカ局長として、イスラエル政府のエルサレムでのテロに対する報復措置に対し、「イスラエル・パレスチナ両当事者の間の憎しみの悪循環を断ち切るのに何ら資することはなく、わが国として懸念を表明せざるを得ない」と述べ、かかる措置の早急な解除を求めました。しかし、2002年にはアフガニスタン復興支援会議へのNGO参加拒否問題などを理由に、中東アフリカ局長を更迭され、官房付となります。

更迭後のキャリア

官房付時代は、審議官室が「重家さんの部屋」と呼ばれ、他の職員とは異なる環境で過ごしました。その後、2002年5月13日に日本国際問題研究所の主任研究員として出向しましたが、これは事実上の降格人事と見られました。しかし、2003年には在南アフリカ共和国特命全権大使として再び外交の舞台に立ちました。

駐韓大使として

2007年には在大韓民国特命全権大使に就任しました。同年末には、新しく大統領に就任した李明博と会談し、両国関係の構築や北朝鮮問題での協力強化について話し合いました。

竹島問題と襲撃事件

2008年には、日本が中学校社会科の学習指導要領解説に竹島に関する記述を初めて導入したことに対し、韓国政府から抗議を受けました。また、2010年7月には、駐韓大使退任直前の講演中に、「独島奪還」を主張する韓国人男性からセメント彫刻を投げつけられる事件に遭いました。

退官後

2010年8月に退官後は、同志社大学法学部の客員教授や、特定非営利活動法人日中産学官交流機構の副理事長、東レ顧問などを務めました。2015年5月には一般社団法人霞関会の理事長に就任し、2020年4月には瑞宝重光章を受章しました。

論文

重家氏は、外交に関する論文も執筆しており、以下のようなものがあります。

「大使のおすすめ 日本でも買える「南ア・ワイン」」（外交. 21(2)（通号 120）、2006年Win.）
「現下の中東情勢と米国同時多発テロ」（世界経済評論. 45(12)（通号 556）、2001年12月）
「APECフィリピン会議の成果と日本〔含 質疑応答〕」（世界経済評論. 41(2)、1997年2月）
「<座談会>自由化へ向けて動き出したAPEC（特集 APECフィリピン会合の成果）」（日下一正、近藤剛他と共著） 時の動き. 41(1)、1997年1月）
「論苑最近の日本を取りまく外交・経済問題世界貿易機構(WTO)の動向」（日本貿易会月報（通号 519）、1996年10月）

略歴

1945年 - 広島県生まれ
1965年 - 修道高等学校卒業
1969年 - 一橋大学経済学部卒業、外務省入省
1984年 - 外務省欧亜局大洋州課長
1986年 - 後藤田正晴内閣官房長官秘書官
1987年 - 小渕恵三内閣官房長官秘書官
1988年 - 外務省北米局安全保障課長
1990年 - ハーバード大学国際問題研究所 (CFIA) フェロー（在アメリカ合衆国日本大使館参事官）
1991年 - 国際連合日本政府代表部参事官
1992年 - 国際連合日本政府代表部公使
1993年 - 外務省大臣官房外務参事官（中近東アフリカ局担当）
1995年 - 外務省大臣官房審議官（中近東アフリカ局担当）
1995年 - 外務省大臣官房審議官（経済局担当）
1997年 - 在アメリカ合衆国日本国大使館公使
2000年 - 在アメリカ合衆国特命全権公使
2001年 - 外務省中東アフリカ局長
2002年 - 日本国際問題研究所主任研究員（所長代理）
2003年 - 在南アフリカ共和国兼ボツワナ兼レソト兼ナミビア兼スワジランド特命全権大使
2006年 - 特命全権大使沖縄担当
2007年9月 - 大韓民国駐箚特命全権大使
2010年8月 - 退官
2011年4月 - 同志社大学法学部客員教授
2012年 - 特定非営利活動法人日中産学官交流機構副理事長、東レ顧問
2015年5月 - 一般社団法人霞関会理事長
2020年4月 - 瑞宝重光章受章

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