天津条約 (1858年)

天津条約の概要

天津条約（てんしんじょうやく）は、清国（現在の中国）と様々な西洋諸国との間で締結された重要な国際条約です。この条約は、1856年に勃発したアロー戦争を背景に、清朝が英仏連合軍に天津を制圧された後に結ばれました。条約は、ロシア帝国、アメリカ合衆国、イギリス、フランスの4国との間で締結され、多くの不平等条約の原型となりました。

背景と締結

アロー戦争の初頭、清国はアヘン貿易を巡る問題で西洋諸国と前もって結んだ条約が原因で、国の尊厳が脅かされていました。特に、英仏連合軍が広州を占拠してからは、清朝の権威が失われ、さらなる軍事的圧力が加わりました。この状況の中で、清朝は大学士桂良を代表とし、ロシアとの条約を1858年6月13日に締結した後、アメリカ（6月18日）、イギリス（6月26日）、フランス（6月27日）との間でも次々と条約を結びました。

条約の主な内容

天津条約には、以下のような重要事項が定められました:

1. 賠償金: 清国はイギリスに対し400万両、フランスに対して200万両の銀を賠償することになりました。
2. 外交の権利: 外国の外交官が北京に駐在することが許可され、今後の外交関係が一歩進展しました。
3. 貿易と旅行の自由: 外国人は中国国内を旅行し、貿易を行う自由が与えられ、治外法権が設けられました。
4. 航行権: 外国艦船が揚子江を自由に航行する権利が保障されました。
5. 宗教の自由: キリスト教の布教が許可され、宣教師の保護が求められました。
6. 開港: 牛荘、登州、漢口、九江、鎮江、台南、淡水、潮州、瓊州、南京の10港が新たに開港され、外国との貿易が促進されることになりました。
7. 表記の変更: 公文書において西洋の官吏に対して「夷」の表記を用いることが禁じられました。

批准の混乱と後続の条約

ロシアとアメリカは翌1859年に批准を交換しましたが、イギリスとフランスは批准交換の使節が入京する際に紛争が生じたため、批准を拒否しました。このため、英仏連合軍は宣言に従い、再度天津に上陸し、さらには北京を占領しました。結果として、1860年にロシアの仲介により締結された北京条約で、再度天津の開港や北京における外国公使の駐在、九竜半島の英国への割譲が行われました。

このように、1858年の天津条約はその後の状況の影響を受け、1860年の北京条約に繋がる重要な出来事となりました。本条約は、清国にとって非常に厳しい条件の下で結ばれたものであり、今後の不平等条約の流れを形成する一因となりました。

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