天然橋

天然橋（てんねんきょう）

天然橋は、自然の侵食によって形成された岩石のアーチのことを指します。これは、柔らかい地層が固い地層に覆われた場所で、波や水流、風化などの作用によって形成されます。アーチ形状の天然橋は、周囲が険しい崖に囲まれた独特の風景を生み出します。

呼称と定義

日本語では「天然橋」と称されることが一般的ですが、門状の形状を持つものは「岩門」や「石門」とも呼ばれます。英語では「natural bridge」や「natural arch」という表現が使われます。アメリカの自然橋協会によると、「natural bridge」は「natural arch」の一種であり、特定の条件を満たすものと定義されています。

形成メカニズム

海岸の天然橋

海岸線に見られる天然橋は、地質的な特性に応じて二つのタイプに分けられます。まず、不整合な海岸線では、波のエネルギーが柔らかい岩層を侵食し、洞窟のような構造を形成し、それが貫通して天然橋ができあがります。オーストラリアのポートキャンベル国立公園にあるロンドンアーチがこの例です。整合性のある海岸線では、硬い岩層が侵食された後、柔らかい層が急激に削られることで天然橋になることがあります。

風化による天然橋

風化作用によっても天然橋は形成されます。この場合、砂岩の亀裂が広がり、それが崩れ落ちることで露出した層が次第に侵食されていきます。繰り返される温度変化や凍結により、小さな穴が開き、時間の経過と共にそれが大きくなり橋の形状に成長します。こうした自然現象はユタ州のアーチーズ国立公園などで見ることができます。

河川や雨の侵食

水流が地層を侵食することで天然橋に似た形状が生成されることもあります。流れが化学的作用によって地層を深くえぐることで、自然の岩のアーチが作り出されます。日本では広島県の雄橋が川の侵食によって形成された天然橋の例です。

鍾乳洞と侵食

鍾乳洞の形成によっても天然橋が生じることがある。多くのドリーネが浸食を受けながら結合し、アーチを形作ります。岡山県の羅生門がこのようにしてできた例です。

交通利用と著名な天然橋

一部の天然橋は実際の交通にも利用されています。アメリカのケンタッキー州には、石灰岩の天然橋の上に舗装された道路があります。ルーマニアのポノアレレ村にある「神の橋」も実際に交通利用されていた時期がありますが、現在は保護のための補強工事が行われています。また、雄橋は昭和初期まで生活道路として利用されていました。

世界の有名な天然橋

多くの国で著名な天然橋が存在します。アメリカでは、アラバマ州のNatural Bridge、アリゾナ州のTonto Natural Bridgeなどが知られています。イギリスでは、ドーセットにあるダードル・ドアやステア・ホールが観光名所とされています。日本国内でも多くの天然橋が国の天然記念物として指定されており、その美しさと自然の力を示しています。天然橋は、形が変わる過程も含めて、自然の驚異を感じることができる場所なのです。

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