天神流通戦争

天神流通戦争の概要

天神流通戦争（てんじんりゅうつうせんそう）とは、日本の福岡市中央区天神における商業施設同士の熾烈な競争を指す言葉です。特に大型店の出店や撤退が焦点となるこの争いは、1970年代以降の現象を踏まえて語られることが多いです。時に「流通戦争」や「小売り戦争」とも呼ばれ、福岡エリア全体で広がりを見せています。また、博多地区へのJR博多シティの開業など、天神中心の商業地図が変化を遂げたことから、メディアでは「福岡流通戦争」の名でも取り上げられています。

商業地の成立と前史

天神流通戦争が始まる以前から、天神は商業の集積地として知られていました。1924年に開業した西鉄福岡（天神）駅を中心に、西鉄沿線には商業施設が多数立ち並びました。特に1932年には松屋百貨店が、1936年には岩田屋が開業し、その後も戦後の経済成長期には、増築を重ねていくことになります。このように、天神エリアは商業の中心地として時間をかけて発展していったのです。

第1次天神流通戦争（1971年～1976年）

1971年6月、大型スーパーのダイエーショッパーズ福岡店が開業します。1975年には博多大丸が大丸福岡天神店をオープンし、1976年には天神地下街の整備が進められます。この一連の動きが、第1次天神流通戦争と位置づけられます。同時に、ファッションビルや新たな店舗が相次いで開館し、エリア全体の活気が増しました。

第2次天神流通戦争（1989年）

1980年代に入ると、西鉄福岡駅の再開発が進む中、1989年にはベスト電器が大型電器店を開店。この時期、ファッションビルのソラリアプラザやイムズが登場するなど、商業施設の拡張が続き、第2次天神流通戦争と称される時代に突入します。この流れにより、客層の変化が見込まれたものの、北側のダイエーが売上を伸ばし、多くの商業施設が共存し続けました。

第3次天神流通戦争（1996年～1999年）

バブル経済の崩壊を受け、第2次戦争後の出店動向は落ち着きを見せましたが、1996年以降、再び新しい出店が活発化します。岩田屋のZサイドがオープンし、続いて博多大丸や福岡三越の出店により激しい競争が展開されました。この時期、商業面積が拡大するなど、天神の魅力も一段と高まりましたが、同時に経営的な問題も浮上し、岩田屋は経営危機に陥る背景もありました。

第4次天神流通戦争（2004年～2007年）

2004年、岩田屋が新たな本店をオープンし、他の大手百貨店もそれに続いて改装を行いました。この流れによって、天神の商業圏はさらに刺激を受け、「第4次流通戦争」として評価されました。しかし、競争が激化した結果、2007年には井筒屋博多店が閉店するなどの影響も見られました。

第5次流通戦争（2010年～2012年）

2010年には、福岡パルコが進出し、さらにはJR博多駅の改装によるアミュプラザ博多の開業などにより、天神との競争が新たな局面を迎えます。この状態を「第5次流通戦争」と呼ばれることが多く、各百貨店は業績が厳しくなりつつある中、共同企画の福袋を考案するなどして対抗し続けました。

第6次流通戦争（2014年～2016年）

北側エリアの再開発が進む中、岩田屋跡地には新しい福岡パルコがオープンします。また、博多地区の競争も激化する中で、天神地区にも影響を及ぼしており、毎年新たな展開が見込まれる状況です。

結局、天神流通戦争は単なる商業や小売りの競争を超え、地域の発展や文化形成にも大きな影響を与えてきたといえるでしょう。この競争は福岡市の経済にかかわる重要な要素の一つであり続けています。

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