天童大人

天童大人：詩と声と字の芸術家

天童大人（1943年生まれ）は、詩人、朗唱家、字家、そしてクリスタル・シンギングボウル奏者として、多岐にわたる活動で知られる日本の芸術家です。北海道小樽市出身で、13歳で上京。独協学園を経て文化学院、独協大学で学びました。

若き日より文学に深く関わり、同人誌の創刊や作家との交流を通して、表現者としての道を歩み始めました。詩人としての活動は1980年代から本格化し、朗読を通して詩の持つ力を直接的に伝えるパフォーマンスを展開。

天童大人の芸術活動の大きな特徴は、朗読を通じた「肉声の復権」という理念にあります。単なる詩の朗読にとどまらず、詩の持つエネルギーや感情を、聴く者の心にダイレクトに届けることを重視しています。その活動は、2006年に創立したアートパフォーマンス『Projet La Voix des Poètes（詩人の聲）』に集約されています。

『詩人の聲』では、国内外の約180名以上の詩人が参加し、2021年6月までに1984回もの公演を数える大規模なプロジェクトとして継続されています。北海道から沖縄まで、さまざまな場所で詩の朗読会を開催し、多くの人々に詩の世界に触れる機会を提供しています。

朗唱活動と並行して、独自の書風を持つ字家としての活動も展開。詩の世界観を視覚的な表現へと昇華させ、個展を繰り返し開催してきました。その作品は、詩と同様に力強い生命力を感じさせます。

さらに、クリスタル・シンギングボウル奏者としての顔も持ち、音の響きを通して、独特の癒しと共感を生み出すパフォーマンスにも取り組んでいます。

天童大人の活動は国内にとどまりません。数々の国際詩祭に招待され、世界各地で詩を朗読。その活動は高く評価され、2018年にはバングラデシュのKATHAK文学賞を受賞するなど、国際的な舞台でも活躍しています。

幼少期から現在に至るまでの天童大人の歩みは、詩や声、字という多様な表現手段を探求し続ける、揺るぎない情熱と探究心に満ち溢れています。

経歴のハイライト

1943年：北海道小樽市に生まれる
1970年：瑞穂書房設立
1972年～1973年：スペインでの修業、声の力に開眼
1980年：本格的な朗唱活動を始める
1981年：第一詩集『玄象の世界』出版
1982年：肉声の復権を目指す「北ノ朗唱」開始
1987年：ワシントン・ケネディセンターのジリアン・プールより「UNIVERSAL VOICE」と命名される
1990年～：毎年対馬・和多都美神社で「聲ノ奉納」を行う
1995年：第二詩集『エズラ・パウンドの碧い指環』出版
1997年：メデジン国際詩祭で国際詩祭デビュー
2006年：アートパフォーマンス『詩人の聲』創立
2018年：KATHAK文学賞受賞
* 2019年：「VΘEME」商標登録

天童大人を彩るエピソード

天童大人は、幼少期に「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄と出会い、その言葉に感銘を受けたと語っています。三島由紀夫との出会いも、彼の芸術家としての道を深く彩る出来事となりました。

また、英文学者・壽岳文章からは「不思議な人物の随一」と評され、ソプラノ歌手・ガリーナ・ヴィシネフスカヤ教授のマスタークラスを受講するなど、国内外の著名な芸術家との交流も豊富です。

これらの経験が、天童大人の芸術表現の多様性と深みを生み出していると言えるでしょう。

作品集

詩集、編著、アンソロジー集、写真集、翻訳、オリジナル版画集、CD、ビデオなど、多様な媒体を通じて作品を発表し続けています。それぞれの作品には、天童大人独自の詩的世界観と表現方法が凝縮されています。

個展・グループ展

これまでに数多くの個展、グループ展を開催しており、その活動は国内外に広がっています。詩の朗読と並行した字家としての活動も盛んです。

国際詩祭

国際的な詩祭への参加も精力的に行っており、世界中の詩人たちと交流を重ねています。

天童大人は、詩、声、字、そしてクリスタル・シンギングボウルという多彩な表現手段を駆使し、独自の芸術世界を構築し続けています。その活動は、言葉の持つ可能性を深く探求し、表現の新たな地平を開拓する試みとして、今後も注目に値します。

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