天龍寺 (品川区)

天龍寺：徳川家康と著名人ゆかりの品川区の寺院

天龍寺は、東京都品川区に位置する曹洞宗の寺院です。1581年（天正9年）、松平忠昌の生母である清涼院によって開基されました。歴史あるこの寺院は、徳川家康との深い繋がりや、多くの著名人の墓所として知られるなど、興味深い特徴を数多く持ち合わせています。

徳川家康との繋がり

天龍寺の2世、嶺育は徳川家康の帰依を受け、頻繁に江戸城へ参内していました。しかし、高齢の嶺育にとって江戸城までの距離は大きな負担でした。このため、家康は嶺育の居住の便宜を図るべく、下谷（現在の東京都台東区）に新たな天龍寺を建立しました。現在では足立区に移転していますが、この経緯から「天龍寺」を名乗る曹洞宗寺院が2つ存在することとなりました。

多くの著名人の眠る墓所

天龍寺は、開基である清涼院をはじめ、越前藩主である松平忠昌家ゆかりの人物も多く葬られています。著名な人物としては、侍医で男爵の岩佐純氏、薬学博士の辻岡精輔氏、弁護士の出浦力雄氏、建築家で力雄の次男である出浦高介氏らが挙げられます。また、国文学者の岩佐美代子氏もこの寺院に眠っています。岩佐美代子氏の家系は、曽祖父に渋沢栄一、祖父に穂積陳重と児玉源太郎、父に穂積重遠といった錚々たる人物が名を連ねています。彼女は岩佐純氏の曾孫である岩佐潔氏と結婚しましたが、夫に先立たれました。

境内にある「碑文谷踏切責任地蔵尊」

天龍寺の門を入って左側には、「碑文谷踏切責任地蔵尊」と呼ばれる地蔵尊が祀られています。これは、大正時代に起きた踏切事故を悼むものです。踏切係員2人が、自らの不注意で横断者を死なせてしまい、責任を感じて事故直後に飛び込み自殺したという悲劇的な出来事でした。この地蔵尊は、事故で亡くなった踏切係員2人と横断者1人の冥福を祈るために建立されました。

交通アクセス

天龍寺へのアクセスは、JR京浜東北線・新馬場駅から徒歩5分です。駅から寺院までは、案内標識などが設置されているため、容易にたどり着くことができます。

まとめ

天龍寺は、歴史、宗教、そして人々の悲しみと祈りといった様々な要素が重なり合った、奥深い歴史を持つ寺院です。徳川家康との繋がり、多くの著名人の墓所、そして悲しい歴史を持つ地蔵尊など、見どころは満載です。品川区を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と雰囲気を感じ取ってみてください。 歴史好きの方、静かな場所で心を落ち着かせたい方におすすめです。

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