太原府

太原府は、中国の歴史において、現在の山西省中部に位置していた行政区分です。その起源は隋代の太原郡や唐初の并州に遡り、唐代には府に昇格、元代には路と改称され、明代に再び府に戻るなど、時代ごとにその名称や管轄範囲を大きく変遷させてきました。この記事では、その歴史的変遷を詳細に解説します。

唐代の太原府

太原府は、723年（開元11年）に唐朝によって并州が昇格して成立しました。742年（天宝元年）には一時的に北京とされました。この頃の太原府は河東道に属し、太原、晋陽、太谷、文水、楡次、盂、清源、交城、陽曲、寿陽、広陽、楽平、祁の13県を管轄していました。

北宋の太原府

北宋時代になると、太原府は河東路に属し、管轄する県も変化しました。この時代の太原府は、陽曲、太谷、楡次、寿陽、盂、交城、文水、祁、清源、平晋の10県と、大通、永利の2監を管轄していました。

金代の太原府

金の時代には、太原府は河東北路に属し、陽曲、太谷、平晋、清源、徐溝、楡次、祁、文水、交城、盂、寿陽の11県と、陽曲、百井、赤塘関、天門関、陵井駅、晋寧、晋祠、団柏の8つの鎮を管轄しました。この頃には、県の数が増え、鎮という新しい行政単位が登場しています。

元代の太原路

1218年、モンゴル帝国によって太原府は太原路総管府と改称されました。その後、1305年（大徳9年）に地震の影響で冀寧路と改称されました。この冀寧路は中書省に属し、録事司を置き、直属の陽曲、文水、平晋、祁、楡次、太谷、清源、寿陽、交城、徐溝の10県に加え、汾州、石州、忻州、平定州、臨州、保徳州、崞州、管州、代州、台州、興州、堅州、嵐州、盂州の14州を管轄する広大な地域を統括していました。

明代の太原府

1368年（洪武元年）、明朝によって冀寧路は再び太原府と改称されました。太原府は山西省に属し、直属の陽曲、太原、楡次、太谷、祁、徐溝、清源、交城、文水、寿陽、盂、静楽、河曲の12県に加え、平定州に属する楽平県、忻州に属する定襄県、代州に属する五台、繁峙、崞の3県、岢嵐州に属する嵐、興の2県、そして保徳州を管轄していました。この時代の太原府は5州20県を統括する広大な地域を支配していました。

清代の太原府

清代になると、太原府は山西省に属し、陽曲、太原、楡次、太谷、祁、徐溝、交城、文水、嵐、興の10県と岢嵐州を管轄しました。この時代には、管轄する県の数が減少し、より統治が効率化されました。

太原府の廃止

1913年、中華民国によって太原府は廃止され、その歴史に幕を閉じました。

太原府は、時代によって行政区分の名称や管轄範囲を変えながらも、この地域の中心的な役割を果たし続けました。その変遷は、中国の歴史における行政制度の変化を反映しており、地域史研究においても重要なテーマとなっています。

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