并州

并州（へいしゅう）とは：中国史における変遷

并州（へいしゅう）は、古代中国に存在した州の一つであり、上古の時代には九州の一つとして認識されていました。その領域は時代と共に変化しましたが、主に現在の山西省を中心とする地域を指します。

漢代の并州

紀元前106年、前漢の武帝は全国を13州に分割し、并州を設置しました。この時の并州は、現在の山西省の大部分に加え、河北省や内モンゴル自治区の一部を含む広大な範囲を管轄していました。太原・上党・西河・朔方など9つの郡を擁し、北方の異民族に対する防衛拠点としての役割も担っていました。

前漢が滅亡し混乱期に入ると、匈奴と結んだ盧芳が并州北部に割拠するなどの動きもありましたが、後に光武帝に帰順しました。後漢時代には州治が晋陽に置かれ、35年には朔方刺史部が并州に編入されています。

魏晋南北朝時代の动荡

後漢末期の混乱期には、異民族の侵入が相次ぎました。215年には、オルドス地方にあった朔方・上党・五原などの郡が放棄され、新たに新興郡が設置されました。また、南匈奴を中心とする異民族の流入に対応するため、曹操は并州とその周辺に匈奴の居留地を設け、統治を行いました。

西晋末期の八王の乱では、劉淵が并州周辺の匈奴勢力を糾合し自立、後に石勒が并州を支配しました。石勒はその後、後趙を建国し、朔方一帯を分割して朔州を新設しました。華北を支配した三燕の領土となったり、前秦・後秦・夏などの政権が并州を置いたりと、分裂状態が続きました。

北魏時代には、行政区画の細分化が進み、肆州や汾州が分割新設されました。北周は并州を要地とみなし、河北道総管府を設置しました。

隋唐時代以降の并州

隋代になると、并州は2郡9県を管轄しました。605年には遼州が廃止され并州に統合されましたが、607年には郡制施行に伴い太原郡と改称されました。

唐代には、并州は北方防備の重要拠点として重視され、河東節度使が置かれました。723年には太原府に昇格し、北京太原府として副都格の扱いを受けました。その後、并州の名称は一時的に復活するものの、1059年に太原府に再昇格したことで、その名は歴史から姿を消しました。

このように、并州は時代と共にその領域や役割を変えながら、中国の歴史に深く関わってきた州でした。

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