太平洋編成経路システム

太平洋編成経路システム（PACOTS）について

太平洋編成経路システム（PACOTS：Pacific Organized Track System）は、日本とアメリカ間の太平洋上空において、航空機の運航効率を向上させるために導入されたシステムです。このシステムは、固定された航空路ではなく、日々の気象条件、運航者の要望、空域の利用状況などを総合的に考慮して、毎日2～5本の可変航空路を設定・運用します。

PACOTSの概要

太平洋上を横断する航空交通量は年々増加しており、利用可能な空域をより効率的に活用する必要性が高まっています。この課題に対応するため、日本の国土交通省航空局（JCAB）とアメリカ連邦航空局（FAA）が協力してPACOTSを開発しました。PACOTSは、北米西海岸やハワイから日本や東南アジアへ向かう航空機に対し、以下の要素を考慮して最適な航空路を毎日設定します。

最適な風況: 追い風を最大限に利用し、向かい風の影響を最小限に抑える
運航者の要望: 各航空会社の運航計画に可能な限り合致させる
航空路の混雑状況: 航空路の混雑を避け、安全かつ円滑な運航を確保する

PACOTSにおける航空機の間隔は、広域航法（RNP）基準に基づき、縦横ともに30海里です。また、トラック上では、最小縦断距離が10分で運用されます。

PACOTSの運用範囲と航路

PACOTSで設定される洋上航空路は、福岡、オークランド、アンカレッジの各飛行情報区（FIR）内に設定されます。これらの航空路は、固定航空路である北太平洋ルート（NOPAC）と組み合わせて運用され、常に最適な経路が選択されるように設計されています。NOPACは最短経路である大圏航法に近いルートですが、PACOTSは必ずしも最短経路となるとは限りません。

PACOTSの航路は、東向きの航路を福岡FIRの航空交通管理センター（ATMC）が、西向きの航路をオークランドARTCCがそれぞれ作成し、1日に2回NOTAM（航空情報）として告知されます。東向きのPACOTSコースは数字で、西向きのPACOTSコースはアルファベットで指定されます。

PACOTSの効果

PACOTSの導入により、以下のような効果が得られています。

燃料消費の削減: 追い風を最大限に利用し、向かい風の影響を最小限に抑えることで、燃料消費量を削減
CO2排出量の削減: 燃料消費量の削減に伴い、CO2排出量を低減

また、PACOTSをベースとして、運航機材、運航時刻、気象予報などを考慮して、運航者が任意に経路を作成するUPR（User Preferred Route）方式も存在します。UPR方式を利用することで、航空会社はより希望に沿った経路を飛行でき、さらなる燃料消費削減とCO2排出量削減に貢献することが期待されています。

PACOTSの航路一覧

PACOTSは主に以下のルートで使用されています。

日本 - 北米ルート
日本 - ハワイルート

関連項目

北太平洋ルート（NOPAC）
広域航法（RNP）
飛行情報区（FIR）
* ユーザー優先ルート（UPR）

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