太平洋美術会

太平洋美術会：日本の洋画壇を彩る歴史ある美術団体

太平洋美術会は、日本の美術史において重要な役割を果たしてきた美術団体です。洋画、彫刻、版画、染織と幅広い分野を包含し、数多くの著名な芸術家を輩出することで知られています。その歴史は、明治時代後期にまで遡ります。

明治期からの歩み：太平洋画会から太平洋美術会へ

太平洋美術会の起源は、1901年に設立された「太平洋画会」にあります。明治美術会の解散後、ヨーロッパで研鑽を積んだ吉田博、満谷国四郎、中川八郎といった新進気鋭の作家たちが中心となり、石川寅治、都鳥英喜らと共に新たな美術団体を結成しました。

太平洋画会は、1902年に最初の展覧会を開催。以降、小杉未醒、石井柏亭、高村真夫といった著名な芸術家たちが参加し、その活動は次第に活発化していきました。特に、1904年、1905年にフランス留学から帰国した鹿子木孟郎と中村不折が参加した展覧会は、白馬会と並ぶ洋画界の二大勢力形成へと繋がりました。

初期の太平洋画会は、鹿子木孟郎や中村不折が師事したジャン・ポール・ローランスの影響を受けたアカデミックな画風を特徴としていました。白馬会が好んだ外光表現とは異なる作風で、洋画界に新たな潮流を創出しました。

1957年、団体は「太平洋美術会」と改称し、1975年には社団法人となりました。

後進育成：太平洋画会研究所と太平洋美術学校

太平洋画会は、芸術家の育成にも力を注いでいました。1904年には「太平洋画会研究所」を設立し、若手芸術家の育成に取り組みました。1929年には「太平洋美術学校」と改称され、初代校長には中村不折が就任。川上凉花、川村信雄、萬鐵五郎など、後に活躍する多くの芸術家を輩出しました。

太平洋美術学校は戦災を受けましたが、1957年に「太平洋画会研究所」として再開。中村彝、中原悌二郎、堀進二といった著名な芸術家もここで学んでおり、太平洋美術会が日本の美術界に貢献してきた歴史を物語っています。現在も研究所は継続され、日本の美術界を担う人材育成に貢献し続けています。

著名な会員と影響

太平洋美術会には、吉田博、丸山晩霞、中川八郎、石井柏亭、中村不折、有吉秀太（永地秀太）など、日本美術史に名を刻む多くの芸術家が名を連ねています。彼らの作品は、日本の近代美術に大きな影響を与え、現在でも高く評価されています。渡部審也といった元幹部も、その発展に大きく貢献しました。

太平洋美術会は、明治時代後期から現代まで、日本の美術界の中心的な存在として、数多くの芸術家を育成し、日本の美術文化の発展に貢献してきました。今後も、その歴史と伝統を継承しつつ、新たな表現を生み出し続けることが期待されます。

参考文献

高橋虎之助 編「年表」『創立三十年記念記録』太平洋画会、1932年、27-30頁。

外部リンク

一般社団法人 太平洋美術会

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