李継遷

李継遷：西夏の礎を築いたタングート族の英雄

李継遷（り けいせん）は、10世紀後半から11世紀初頭にかけて活躍したタングート族の人物で、後の西夏の礎を築いたことで知られています。彼の生涯は、宋朝との対立、遼朝との連携、そして自らの勢力基盤の確立という、激動の時代を象徴するものでした。

生い立ちと初期の活動

李継遷は、963年に銀州で生まれました。幼少の頃から勇猛果敢で聡明だったと伝えられています。975年、12歳の時に管内都知蕃落使に任じられ、その才能を発揮し始めました。

982年、族兄の李継捧が宋に入朝し、五州の返還を求められたことをきっかけに、李継遷は反宋活動を開始します。弟の李継沖らと共にタングート族を率い、宋からの独立を目指しました。

遼との連携

李継遷は、宋に対抗するために遼との連携を深めます。遼の聖宗から定難軍節度使などの官職を与えられ、その支援を受けながら勢力を拡大していきました。991年には、李継捧が夏州を遼に献上し、西平王に封じられたことで、李継遷の勢力は更に強まりました。

西平府の建設

1002年、李継遷は霊州を攻撃し、これを占拠して西平府と改称しました。西平府は、河朔・慶涼地域の西域交通の要衝であり、李継遷は都城の防衛を固めると共に、王殿や宗廟などを整備し、民衆に中原の知識を習得させるなど、都城の整備に力を入れました。

その後

李継遷は、環州・慶州の攻撃を計画しますが、吐蕃族の首領の潘羅支の策略により大敗を喫し、自身も負傷して西平府に帰還しました。1004年、容態が悪化した李継遷は、子の李徳明に宋への帰順を指示し、その後死去しました。

李継遷の死後、子の李徳明は潘羅支を討ち、父の仇を討ちました。孫の李元昊は、西夏を建国し、李継遷に太祖神武皇帝の諡号を追贈しました。

李自成との関係

明末期の反乱指導者である李自成は、李継遷の末裔を称していますが、どの西夏皇族の系統かは明らかになっていません。

まとめ

李継遷は、宋代の混乱期に、タングート族の独立を志し、西夏の礎を築いた英雄です。彼の生涯は、政治的な駆け引きや軍事的な才能、そして故郷への愛に満ちていました。李継遷の功績は、後の西夏建国へと繋がり、その名は歴史に刻まれています。

参考文献

* 『宋史』卷四百八十五、列傳第二百四十四、外國一』（元脱脱等編）

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