太平御覧

『太平御覧』について

『太平御覧』（たいへいぎょらん）は、中国の宋代初期に完成した百科事典型の類書です。この書物は、同時期に編纂された他の三つの重要な書物、すなわち『太平広記』、『冊府元亀』、そして『文苑英華』とともに、宋四大書として知られています。

概要

この書物は、宋の太宗の時代に、李昉や徐鉉など14人の学者によって、皇帝の命により撰編されました。成立の時期は太平興国2年から8年、すなわち977年から983年にかけてであり、全体で1000巻から構成されています。当初は『太平総類』という名称で知られていましたが、太宗が毎晩3巻ずつ熟読し、1年以内に完全に読み終えたことから、現名に改称されたと伝えられています。この書物は、天部、時序部、地部など、55の部に分かれており、多様な内容が盛り込まれています。

内容は5426の類目に細分化されており、各目には各種書物から引用された文章や記事が分類されています。引用されている書物の数は1690種類におよび、さらに詩や賦などを含めると2000種類以上になるとされています。これらの引用は、先行する類書や他の古典からのものであり、その中には多くの亡佚した文献もあるため、現在の研究において非常に価値のある資料とされています。

内容の詳細

『太平御覧』は多岐にわたる内容で、下記のような多くの部門に分類されています。

• - 天部: 15巻
• - 時序部: 20巻
• - 地部: 40巻
• - 皇王部: 41巻
• - 職官部: 67巻
• - 兵部: 90巻
• - 人事部: 141巻
• - 妖異部: 4巻
• - 薬部: 10巻

これらの部門は、特定のテーマに基づき、さらに細かく分類されており、様々な情報や知識を体系的に整理した形で提供されています。

版本と伝播の歴史

『太平御覧』は仁宗の時代に初めて刊行され、その後も多くの版が印刷されました。宋代は敵国に情報が漏れることを避けるため、多くの文献が海外に持ち出されるのを禁じていましたが、高麗の国がこの書物を強く求め続け、ついには1101年に高麗に1000冊が下賜される運びとなりました。また、日本でも1179年に平清盛が中国から取り入れた書籍の中に本書が含まれており、後に複製が作成されました。

版としては、日本に伝わったのは1199年の蜀刻本が知られています。さらに、江戸時代には田口文之や喜多村直寛の手によって木活字本が刊行されました。一方、中国本土における版は、北宋や南宋の刊本が早期に失われてしまったため、現在は日本に伝わる南宋版が貴重な存在となっています。

結論

『太平御覧』は、古代中国の膨大な知識を収集・編纂した重要な書物です。その構造的な特徴や引用文献の多様性、そして歴史的な伝播の過程を通して、当時の文化的背景を知るための貴重な資料となっています。

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