太泉映画

太泉映画株式会社の歴史

太泉映画株式会社は、1947年10月15日に設立され、1951年3月31日に合併するまでの短い期間存在しました。この会社は、東京において重要な映画制作の拠点を築き、そして最終的には東映の前身の一つとなるなど、日本映画史において特異な存在感を示しました。

会社設立の背景

太泉映画は、戦時中に閉鎖されていた旧新興キネマ東京撮影所を戦後に買収し、スタジオ株式会社太泉スタジオとして活動を開始しました。設立時は、東宝や日活などの名だたる映画会社が発起人となっており、初代社長には吉本興業の林弘高が就任しました。資本金はおおよそ1,400万円で、映画製作の拠点として期待されていました。通常の映画スタジオとして運営される一方で、戦前の映画制作の遺産を受け継ぐ形でスタートを切りました。

映画制作の開始

設立から間もなく、太泉映画は1948年に最初の映画作品『タヌキ紳士登場』を完成させます。これは吉本興業による製作であり、東宝によって配給されました。この作品には人気漫才師である横山エンタツと花菱アチャコが主演として参加しており、公開は同年3月に行われました。その後、同年に自社製作の第一作となる『肉体の門』も公開されるなど、次々と映画制作に取り組んでいきます。

組織の成長

1948年の4月には資本金を大幅に増資し、映画製作・配給の事業を定款に組み込むことに成功しました。これにより、さらに多くの映画を企画し、製作する基盤を整えることができました。1949年には東京映画配給を設立し、特に『女の顔』という作品が初の配給作品として公開され、大きな注目を集めます。

映画スタジオとしての転機

1950年には商号を「太泉映画株式会社」に変更し、さらに映画製作の内段階を進めました。しかし、同年の8月に製作を中止し、スタジオのレンタル業務に特化することで経営の立て直しを図ると決定します。この戦略により、製作体制を整える一方で、最終的な作品として『アルプス物語 野性』が公開され、太泉映画としての映画製作が終了を迎えます。

合併とその後

1951年3月31日に太泉映画は他の映画会社と合併し、翌日の4月1日には「東映」として新たにスタートします。この合併により、太泉映画スタジオは「東映東京撮影所」に名を変え、東映の一部として新しい歴史を刻むことになります。こうして、短命ながらも多大な影響を与えた太泉映画の時代は幕を閉じました。

フィルモグラフィと文化的遺産

太泉映画によって製作された映画は全19本に達しますが、その中で現在確認されているのは、東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵された2作品のみです。太泉映画の活動は、日本映画における重要な一端を担い、その後の映画産業の発展に多大な影響を与えることとなりました。映画制作に注力したこの会社の歴史は、やがて東映としての新たな基盤を受け継ぐことになり、映画界のさらなる進化へと繋がっていくのです。

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