太田一吉

太田一吉（おおた かずよし）

太田一吉は、安土桃山時代に活躍した武将であり、大名です。豊後臼杵城主として知られています。諱は宗隆とされていますが、通称として小源五、飛騨守、剃髪後は宗善と名乗りました。

生い立ちと初期の経歴

太田氏の家伝によれば、先祖が美濃国太田村を領有していたことから太田姓を名乗るようになったとされています。本姓は菅原氏で、父の宗清は織田信秀に仕えていました。一吉は初め丹羽長秀に仕えましたが、長秀の死後、羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）に仕えることになります。秀吉のもとで美濃国内に1万石を与えられました。

戦功と出世

天正15年（1587年）の九州の役、天正18年（1590年）の小田原の役に従軍し、小田原の役では300騎を率いて活躍しました。文禄元年（1592年）の文禄の役では軍目付として朝鮮に渡り、120人を率いて各地を転戦。現地の住民に帰還を促すなど、占領政策にも関わりました。

文禄2年（1593年）には、大友吉統が改易された後、豊後国大野郡で5万3,200石を加増され、合計6万5,000石を領有する大名となりました。豊後臼杵城主として、その領地を治めることになります。また、豊臣直轄領10万石の代官も務めていたとされています。この出世は、石田三成との親交があったためと言われています。

慶長の役と失脚

慶長2年（1597年）の慶長の役では、小早川秀秋の目付として釜山浦城に配置された後、南原城の戦いに参加。蔚山城の戦いでは、加藤清正や浅野幸長らと共に籠城戦で奮戦し、数か所の矢傷を負いながらも武功を挙げました。しかし、その後の追撃戦において加藤清正ら武断派と対立し、慶長4年（1599年）には、目付の一部と武断派の訴えにより、私曲を理由に蟄居処分となりました。

関ヶ原の戦いと最期

慶長5年（1600年）4月、所領の臼杵湾にオランダ船リーフデ号が漂着した際、一吉は乗組員を救助し、長崎奉行に報告しました。この時、船員から木造のエラスムス立像を贈られています。

同年9月の関ヶ原の戦いでは西軍に与し、近江瀬田橋を警護しました。しかし、西軍が敗れたため、臼杵城に籠城することになります。黒田如水の仲介で降伏し、失領のみで死罪を免れ、その後は剃髪して宗善と号し、京都に隠棲しました。元和3年（1617年）に病死しました。

人物像

太田一吉は、豊臣秀吉の信任を得て、異例の出世を遂げた人物です。文禄・慶長の役での武功や、オランダ船を救助するなど、その行動は多岐に渡ります。しかし、関ヶ原の戦いで西軍に与したことや、武断派との対立により、最終的には失脚しました。その生涯は、戦国時代の激動を象徴するものと言えるでしょう。

参考資料

高柳光寿; 松平年一『戦国人名辞典』吉川弘文館、1981年、59頁。
堀田正敦「国立国会図書館デジタルコレクション 太田氏」『寛政重脩諸家譜. 第6輯』國民圖書、1923年、956頁。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1082716/487 国立国会図書館デジタルコレクション。

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