臼杵城

臼杵城

臼杵城は、大分県臼杵市に位置する日本の城です。その歴史は戦国時代に遡り、大友宗麟によって築かれた丹生島城が前身となっています。この城は、天然の要害を活かした立地と、独自の建築様式が特徴です。現在、城跡は都市公園として整備され、歴史を偲ぶ場所として多くの人々に親しまれています。

概要

丹生島は、北、南、東を海に囲まれ、西側のみ干潮時に現れる干潟を通じて陸地と繋がるという、天然の要害をなしていました。この島の名前「丹生」は、鉱物の辰砂が採れる土地を意味し、「金属鉱石の産出する島」という意味合いがあります。大友宗麟は、この島全体を城郭化し、干潟を干拓して城下町を形成しました。

最盛期には3重の天守と31基の櫓が建てられ、特に総二階造りの重箱櫓と呼ばれる独特な形状の二重櫓が特徴的でした。廃藩後、多くの建物は取り壊されましたが、現在では石垣や空堀が残り、二の丸には畳櫓、本丸には切妻造りの卯寅口門脇櫓が現存しています。

歴史

戦国時代

15世紀後半には、大友氏の16代当主である大友政親が一時的に臼杵を本拠としていました。その後、大友義鎮（宗麟）が毛利氏との戦いに敗れた後、1562年に丹生島に新城を築き、府内から移ったとされています。しかし、実際には1557年頃にはすでに臼杵を拠点としていた可能性が高く、家臣の反乱を避けるため、また臼杵の経済的ポテンシャルに着目して拠点を移したと考えられています。臼杵は、港と城下町が一体となった経済都市として発展し、大友氏の支配体制を安定させる上で重要な役割を果たしました。

ルイス・フロイスの記録によると、城下にはキリスト教施設が多数建てられ、城内にも礼拝堂があったとされています。1579年には田原親貫の反乱鎮圧のため一時的に府内に政庁が戻されますが、大友氏の改易まで臼杵が本拠地でした。1586年には、島津軍の侵攻（丹生島城の戦い）に際し、ポルトガルから入手した大砲「フランキ砲」を動員して島津軍を退けましたが、城も城下も大きな損害を受けました。

近世

文禄・慶長の役後、大友義統が改易され、福原直高が一時的に城主となりました。1597年には太田一吉が入城し、城下町の復興と城の近世城郭化が行われました。特に三の丸の増築や大手門の移築など大規模な改修が施され、現在の姿の基礎が築かれました。

関ヶ原の戦いの後、1600年には稲葉貞通が5万石で入封し、以後、稲葉氏が15代にわたってこの地を治めました。稲葉氏によって城の修築が重ねられ、現在の姿となりました。

近現代

1873年には、城内の建物が一部を残して払い下げられ撤去されました。1877年には西南戦争で旧臼杵藩の家老であった稲葉頼が組織した臼杵隊が、薩摩軍の進攻に備えて臼杵城に籠城しましたが、落城し臼杵は薩摩軍に占領されました。しかし、新政府軍の援軍によって臼杵城は奪還されました。

1887年には城の周囲の海が埋め立てられ、1966年には大分県の史跡に指定されました。2001年には二の丸の大手門にあたる大門櫓が木造で復元され、2017年には続日本100名城に選定されました。

天守

臼杵城の天守は3重4階で、平面規模は6間四方、高さは天守台から6間1尺でした。外観は資料によって異なり、望楼型や層塔型など様々な形状で描かれています。また、複合式や連結式で、多聞櫓や二重櫓が組み合わさっていたとされています。2007年の発掘調査により、天守台石垣が1594年から1600年の間に築かれたことが判明し、1655年の修理記録から天守の大規模な改修が行われたことが示唆されています。

関連作品

赤神諒『大友の聖将』（丹生島城の戦いを題材とした小説）

参考文献

柴田龍司「海城の様相と変遷」『中世城郭研究』第22号、中世城郭研究会、2008年

関連項目

日本の城一覧
臼杵藩
フランキ砲
海城

外部リンク

* 正保城絵図(国立公文書館デジタルアーカイブ)豊後之内臼杵城絵図あり

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