太田資雄

太田資雄（おおた すけかつ）は、室町時代後期に活躍した武将です。生年は不明で、文明11年（1479年）に亡くなりました。父は太田資忠で、太田道灌の甥にあたります。道灌には実子がいなかったため、資雄は道灌の養子となりました。通称は源五郎。

資雄の子、または養子と推定されているのが太田永厳です。永厳は永正・大永年間に、江戸・岩付両太田家とは別に一家を形成し、太田氏の嫡流を継いだとされています。

文明6年（1477年）に道灌が江戸城で催した歌合には、父・資忠とともに資雄の名前も見られます。このことから、当時すでに一族の中で重要な役割を担っていたことが伺えます。

太田資武が記した家伝（「太田資武状」）には、道灌が最初に甥の図書助を養子に迎えたものの、図書助が臼井城の千葉孝胤を攻めた際に討ち死にしたため、別の養子（義芳永賢）を迎えたという記述があります。しかし、この図書助が道灌の実弟である資忠を指すこと、そして道灌と資正（源五郎・資家の孫で資武の父）との間に「源五郎」を称する人物が2代続いたことを示唆する系図（「源姓太田氏系図」）が存在することから、以下のような説が考えられています。

図書助本人ではなく、道灌から見て甥にあたる資雄が道灌の養子となり、臼井城で実父とともに討ち死にしたため、これらの事績が混同されたのではないか、というものです。つまり、資雄は道灌の養子として迎えられ、その直後に戦死した可能性が考えられます。そのため、その事績が曖昧になり、家伝に混乱が生じたのかもしれません。

太田資雄に関する研究はまだ少なく、不明な点も多く残されています。しかし、道灌の養子という立場や、その後の太田氏の系譜に与えた影響を考えると、室町時代の武将研究において重要な人物の一人と言えるでしょう。

参考文献
黒田基樹「太田資雄」（『戦国人名辞典』吉川弘文館、2006年）
黒田基樹「岩付太田氏の系譜と動向」（黒田 編『論集戦国大名と国衆12 岩付太田氏』岩田書院、2013年）

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