臼井城

臼井城について

臼井城は、千葉県佐倉市臼井田付近に位置する日本の城で、佐倉市の指定史跡となっています。この城は、下総台地の北西端にあたる臼井台地に築かれており、印旛沼に注ぐ手繰川と鹿島川という二つの川に挟まれた地形を利用しています。

起源と初期の歴史

臼井城の起源は、平安時代末期の12世紀に遡ると考えられています。伝承によれば、1114年（永久2年）に平常兼の子である常康がこの地に居を構え、臼井六郎と名乗ったとされています。しかし、この居館が現在の臼井城であったかどうかは、確証がありません。

14世紀中頃には、臼井氏の中興の祖とされる臼井興胤が本領である臼井に復帰し、臼井城を居城としたと伝えられています。しかし、この伝承も1715年に成立した『総葉概録』を出典とするため、史実としては慎重な見方が必要です。確実な史料に臼井城が登場するのは、15世紀後半になってからのことです。

戦国時代の激戦地

臼井城が歴史の表舞台に登場するのは、室町時代の「享徳の乱」の頃です。1478年（文明10年）の境根原合戦で敗れた千葉孝胤が、臼井教胤の養子となっていた臼井持胤が守る臼井城に籠城しました。この籠城戦は7ヶ月にも及び、最終的には1479年（文明11年）に落城しました。この戦いでは、太田道灌の甥である太田資忠などが討ち死にし、現在も城の土塁の上に太田資忠の墓が残されています。

その後、足利政氏の次男である足利義明が小弓城を征圧し、小弓公方を自称した際、臼井城主の臼井景胤は小弓公方側につきました。しかし、1538年（天文7年）の第一次国府台合戦で足利義明が討ち死にした後、臼井氏は千葉氏の影響下に復帰しました。

1561年（永禄4年）には、上杉謙信の小田原攻めに呼応した里見氏の正木信茂によって臼井城は攻め落とされ、当時の城主であった臼井久胤は結城氏を頼って落ち延びました。一説には、この時、城は久胤の母方の祖父である原胤貞に乗っ取られており、久胤は軟禁状態にあったとも言われています。その後、臼井城は原氏の支配下に入りました。

1566年（永禄9年）には、上杉謙信と里見義弘の連合軍が臼井城を攻めましたが、原胤貞の指揮下で白井浄三の知謀と北条氏の松田康郷らの活躍により、これを撃退しました（臼井城の戦い）。

1574年（天正2年）に原胤栄（原胤貞の子）が生実城を追われたため、原氏は臼井城を本拠としました。しかし、1590年（天正18年）の小田原征伐で原氏が徳川氏に敗れると、臼井城は酒井家次に与えられました。

廃城と現在

1593年（文禄2年）、城内から出火し、臼井城は灰燼に帰しました。その後、1604年（慶長9年）に酒井家次が上野国高崎藩に移封されると、臼井藩は廃藩となり、臼井城も廃城となりました。室町時代後期以降、臼井城は、後期千葉氏の本佐倉城と比較して、歴史的に重要な役割を果たしましたが、戦乱の時代が終わり、佐倉城が築かれるとその役目を終えました。

現在、臼井城跡は「臼井城址公園」として整備され、市民の憩いの場となっています。1994年（平成6年）には佐倉市の指定史跡となりました。

年表

12世紀中頃：臼井常康が築いたとされる（定かではない）。
14世紀中頃：本格的な城郭として整備される。
1479年（文明11年）：太田道灌率いる上杉勢に攻められ落城。
1557年（弘治3年）：原胤貞が臼井久胤の後見として入城（異説あり）。
1561年（永禄4年）：里見氏の正木信茂に攻められ落城。
1564年（永禄7年）：原胤貞が奪還。
1566年（永禄9年）：臼井城の戦いで上杉・里見勢を撃退。
1574年（天正2年）：原氏が本拠とする。
1590年（天正18年）：小田原征伐により原氏が滅亡、酒井家次が封じられる。
1604年（慶長9年）：酒井家次の高崎移封に伴い廃城。
1994年（平成6年）：佐倉市指定文化財（史跡）となる。

ゆかりの人物

臼井荘一（元総理府総務長官）
臼井日出男（元法務大臣、防衛庁長官）
臼井興胤（コメダ社長、元セガ社長）

関連項目

日本の城一覧#千葉県
臼井藩/佐倉藩

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