太祖大王

太祖大王（たいそだいおう）

太祖大王（47年 - 165年）は、高句麗の第6代の王（在位:53年 - 146年）であり、高句麗の国家体制の基礎を築き、領土を大きく拡大したことで知られています。諱は宮（クン）または於漱（オス）。

生涯

太祖大王は、瑠璃明王の曽孫にあたり、父は古鄒加の再思、母は扶余太后という出自です。幼くして王位に就き、扶余太后の摂政を経て親政を開始しました。

治世と業績

太祖大王の治世は、積極的な外征と領土拡大によって特徴づけられます。

領土拡張: 東沃沮を討伐し、領土を拡大。曷思国を帰順させ、藻那国、朱那国を討伐するなど、周辺諸国への積極的な軍事行動を展開しました。後漢との間にも度々衝突し、領土を巡る争いを繰り広げました。
人事登用: 投降した異民族の王族を積極的に登用し、国内の賢人や孝行者を推挙させるなど、人材の発掘と育成に力を入れました。穆度婁や高福章といった有能な人材を重用し、国政に参与させました。

退位と晩年

太祖大王は、王弟の遂成（後の次大王）に王位を譲り、退位しました。しかし、次大王は即位後、高福章を処刑し、太祖大王の息子を殺害するなど、暴政を行いました。太祖大王は、次大王の悪行に心を痛め、119歳で生涯を終えました。

太祖の廟号について

「太祖」という廟号は、通常、王朝の始祖に贈られるものです。太祖大王は高句麗の始祖である東明聖王から数えて6代目にあたりますが、その功績が王朝の始祖に匹敵すると評価され、「太祖」の廟号が贈られました。

太祖大王は、高句麗の国家体制を確立し、領土を大きく拡大したことで、高句麗の歴史において重要な役割を果たしました。しかし、晩年は退位後の政情不安の中で失意のうちに生涯を終えたことは、彼の人生における悲劇と言えるでしょう。

太祖大王に関する異説

太祖大王の治世については、『魏書』高句麗伝に記されている記述との矛盾点も指摘されています。太祖大王の治世が93年間と非常に長いため、慕本王から太祖大王までの間に数代の王が欠落しているとする説もあります。

高句麗建国神話との関連性

高句麗は、その建国神話を扶余に求めています。太祖大王の母親が扶余出身であることから、高句麗と扶余の関係が重視され、高句麗建国神話に扶余的な要素が取り入れられたと考えられています。これにより、高句麗は征服国家として、部族連盟国家の領域を掌握していく過程で、高句麗に編入された部族連盟国家の始祖伝承を吸収していったと指摘されています。

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