太郎山 (栃木県)

太郎山

太郎山（たろうさん）は、栃木県日光市に位置する標高2,368mの火山であり、日本三百名山の一つとして知られています。那須火山帯の日光火山群に属し、男体山の北西、女峰山の西南西、戦場ヶ原の北東に位置する独立峰です。かつては旧日光市と旧栗山村の境にありました。

概要

太郎山の山体は成層火山であり、頂上部は石英安山岩の溶岩ドームと考えられています。いずれも第四紀火山に分類されます。山名は、男体山と女峰山の間に生まれた「長男」とみなされたことに由来すると言われています。この「夫婦」の間には、他に大真名子山、小真名子山も存在します。

太郎山は、古くから山岳信仰の対象であり、山自体がご神体（太郎山権現）として崇められてきました。男体山、女峰山と合わせて日光三山を形成し、日光修験においても重要な役割を果たしました。太郎山権現は、男体山（二荒山権現）、女峰山（瀧尾権現）と共に、日光三所権現の一角を担っています。寛永年間には月山神社が勧請され、月山詣での人々も多くいました。現在でも、山頂には太郎山神社（祭神：味耜高彦根命）が鎮座しています。

また、林羅山の『二荒山神伝』には、太郎山に有宇中将の子である馬王が新宮太郎明神として祀られているという伝承が記されています。この伝承は、朝日長者の伝説にも類似が見られます。

植物

山麓部にはミズナラ、ブナ、カンバなどの広葉樹が繁茂していますが、山腹から頂上部にかけてはコメツガの針葉樹林が主体となります。その他、シラビソやオオシラビソなどの針葉樹も混ざっています。

山頂の南側、標高2280m付近の旧火口跡の凹地には、かつて湿地であった草原が広がっており、お花畑と呼ばれています。ハクサンフウロ、ウスユキソウ、ホソバイワベンケイなどの高山植物が咲き誇ります。

登山道

太郎山の登山道として、志津峠からのルートがよく知られています。このルートには、日光三嶮の一つに数えられる「新薙」というガレ場があります。新薙では、薙の脇の岩場を登り、崩落したガレ場を渡る必要があります。志津峠から新薙に入ると、笹が生い茂る草原を抜け、ダケカンバ、ツガ、カラマツ、シラビソ、シャクナゲなどが生い茂る中を進みます。

その他、山王峠の山王帽子山登山口から山王帽子山、小太郎山を経由して太郎山へ至るコースや、光徳温泉からハガタテを経て小太郎山、太郎山へと登るコースも存在します。ただし、ハガタテを経由するコースは崩壊が激しいため、現在は通行禁止となっています。

太郎山は、その豊かな自然と歴史的な背景から、多くの登山者に愛されています。

付近の山

男体山
女峰山
大真名子山
小真名子山

脚注

注釈
出典

関連項目

日光連山
日光表連山
* 奥日光

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