奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島とは？意味をやさしく解説

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島について

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島は、2021年にユネスコの世界自然遺産に登録された、日本の5番目の自然遺産です。これらの島々は、鹿児島県と沖縄県にまたがり、固有の生態系と生物多様性が特徴です。

当初、「奄美・琉球」という名称で登録を目指していましたが、ユネスコからの要請で現在の名称に変更されました。登録勧告は国際自然保護連合（IUCN）から出され、第44回世界遺産委員会で正式に決定しました。

登録地は、奄美大島と徳之島、沖縄本島北部（国頭村、大宜味村、東村）、そして西表島の4島です。沖縄島北部では、米軍の北部訓練場残余地が緩衝地帯の役割を果たしており、西表島では、島の大部分が登録範囲に含まれる一方で、緩衝地帯は限定的です。

この世界遺産は、生物多様性の観点から特に重要な地域として登録されました。亜熱帯雨林に覆われたこれらの島々には、イリオモテヤマネコやアマミノクロウサギなど、多くの絶滅危惧種を含む固有の動植物が生息しています。

生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいること。
科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれること。

これらの地域は、自然環境保全法、生物多様性基本法、自然公園法など、様々な法律によって保護されています。また、国立公園や天然記念物指定、種の保存法、鳥獣保護法などによっても保全が図られています。

2003年に環境省と林野庁が共同で設置した検討会で、「琉球諸島」が推薦候補地として選定されました。その後、2013年に暫定リストに掲載され、2016年に再申請を経て、現在の形となりました。登録に際しては、地元との協議や保護体制の整備が進められました。

当初、海洋域の登録も検討されましたが、漁業権やマリンスポーツとの調整の難しさ、海洋環境問題への対応が困難であることなどから、除外されました。ただし、西表島のマングローブ林など、一部の海岸部は登録範囲に含まれています。

同じく世界自然遺産である屋久島とは、生物分布において大きな違いがあります。特に、哺乳類や爬虫類、両生類において、渡瀬線を境に生物相が大きく異なります。

世界遺産登録の過程では、尖閣諸島や米軍基地問題など、政治的な思惑も絡み合いました。特に、尖閣諸島を登録範囲に含める動きに対しては、中国が反対を表明しました。

登録後も、観光客の増加、外来種問題、環境対策など、多くの課題が残されています。特に、以下の点が指摘されています。

土地所有者や利用者の戦略的な管理への参加
観光管理メカニズムの実施

外来種の駆除
米軍北部訓練場跡地の廃棄物処理
ロードキル対策

地域参加

地域コミュニティの積極的な関与
企業の社会貢献

持続可能性

持続可能な開発目標（SDGs）への取り組み

登録時の課題に対する報告書を提出し、第45回世界遺産委員会で概ね了承されましたが、継続的な対策が求められています。

世界遺産条約に基づき、ガイダンス施設・ビジターセンターの設置が進められています。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産としての価値を維持し、次世代に引き継ぐためには、地域社会、行政、研究機関、そして企業など、様々なステークホルダーが協力し、持続可能な保全活動を推進していくことが不可欠です。

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