奈佐村

奈佐村（なさむら）

奈佐村は、かつて兵庫県城崎郡に存在した村です。現在の豊岡市中心部の西方、奈佐川の流域に位置し、兵庫県道242号辻福田線沿いに広がっていました。この地域は、奈佐の「ナ」が接頭語であり特に意味を持たず、「サ」が「狭」を意味し、地形が狭い場所であったことに由来すると考えられています。

地理

奈佐村は、矢次山（標高568メートル）を背に、奈佐川が流れる自然豊かな場所に位置していました。この地形が、村の歴史や文化に影響を与えてきました。

山岳

矢次山（標高568メートル）

河川

奈佐川

歴史

奈佐村は、明治時代に町村制が施行されるまで、いくつかの村が集まって形成された地域でした。以下に、奈佐村の主な歴史をまとめます。

1873年（明治6年）8月15日 - 奈佐小学校が創立。
1875年（明治8年）10月10日 - 辻小学校が創立。
1889年（明治22年）4月1日 - 町村制の施行により、宮井村、岩井村、庄村、吉井村、野垣村、福成寺村、大谷村、内町村、辻村、目坂村、船谷村の区域をもって奈佐村が発足。
1892年（明治25年）2月 - 奈佐尋常小学校と改称。
1908年（明治41年）4月1日 - 辻小学校を廃止し、奈佐尋常小学校辻分校とする。
1947年（昭和22年）10月15日 - 豊岡北中学校から分離して、奈佐中学校が独立開校。
1948年（昭和23年）8月13日 - 奈佐村に農協協同組合が発足。
1955年（昭和30年）4月1日 - 豊岡市に編入され、奈佐村は廃止。
1960年（昭和35年）4月1日 - 辻分校を廃止。
1968年（昭和43年）4月1日 - 奈佐中学校を廃止し、豊岡北中学校奈佐校舎と改称。
1970年（昭和45年）4月1日 - 豊岡北中学校に再び統合。
1986年（昭和61年）5月 - 北但清掃センターが竣工。
1993年（平成5年）7月1日 - 奈佐森林公園が開設。
1994年（平成6年）2月 - 奈佐小学校に緑の少年団が結成。
1994年（平成6年）5月18日 - コウノトリ但馬空港が開港。
2000年（平成12年）4月1日 - 農協協同組合が豊岡北支店に統合。
2013年（平成25年）4月1日 - 奈佐幼稚園が五荘幼稚園と統合され、五荘奈佐幼稚園に名称変更。
2019年（平成31年）4月1日 - 奈佐小学校の1年生と2年生が複式学級になる。
2021年（令和3年）3月24日 - 奈佐小学校で閉校式が挙行され、五荘小学校との統合により、148年の歴史に幕を下ろす。

世帯数と人口

2019年（令和元年）9月30日時点での世帯数と人口は、詳細な数値は不明ですが、地域コミュニティを形成するのに十分な規模でした。

寺院

奈佐地区には、歴史ある寺院がいくつか存在します。これらの寺院は、地域の文化や信仰の中心となってきました。

大聖寺（豊岡市岩井）：禅宗曹洞宗の寺で、1730年創建。現在は参詣が難しい状況です。
光雲寺（豊岡市宮井）：禅宗曹洞宗の寺で、1678年創建。
願教寺（豊岡市庄）：浄土真宗本願寺派の寺で、1711年から1716年の間に道場が建てられ、後に寺号を受けました。現在は無住。
清蓮寺（豊岡市内町）：浄土真宗本願寺派の寺で、1615年に船谷に移り、1879年に内町、1912年に現在地に移転。

式内社

耳井神社（豊岡市宮井）：延喜式に登載されている神社で、水の神を祀るとされる。

名所・観光スポット

奈佐地区には、歴史的な場所や自然を楽しめるスポットがあります。

法如上人巡教碑（豊岡市福成寺）：1780年に西本願寺の法如上人がこの地を訪れた際の水害を記念して建てられた碑。
奈佐森林公園（豊岡市目坂）：1985年から1988年にかけて整備された自然豊かな公園で、自然学校の会場にもなっている。
コウノトリ但馬空港（豊岡市岩井）：1994年開港。地域間の交通を円滑にする役割を担っています。

施設

北但清掃センター（豊岡市岩井）：1986年に竣工し、2016年に閉鎖されるまで地域の廃棄物処理を担っていた。

指定文化財

奈佐地区には、貴重な文化財が保存されています。

県指定

野垣観音堂の木造十一面観音像（豊岡市野垣）
白藤神社の大モミ（豊岡市大谷）

市指定

光雲寺の十一面観音立像（豊岡市宮井）
三木邸庭園（豊岡市目坂）
奈佐節（六条さん）（無形文化財）

元市指定

稲荷神社の大カシ（豊岡市宮井）

脚注

この文章は、下記の参考文献を基に作成されました。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 28（兵庫県）、角川書店、1988年10月。ISBN 4-04-001280-1。
小谷茂夫『但馬国の小さな村の物語 奈佐谷の歴史』但馬文化協会、2006年1月。 NCID BB26607852。
兵庫県豊岡市総務部総務課 編『豊岡市統計書』 令和元年版、兵庫県豊岡市総務部総務課、2020年2月。国立国会図書館サーチ：R100000001-I28111103411831。

関連項目

* 兵庫県の廃止市町村一覧

奈佐村は、その歴史と文化を通じて、現在の豊岡市に深く根付いています。この文章が、奈佐村に関する理解を深める一助となれば幸いです。

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