契島

契島（ちぎりしま）について

契島は広島県豊田郡大崎上島町に位置する、小さな岩礁のような島です。瀬戸内海に浮かぶこの島は、芸予諸島の一部であり、竹原市の沖合約4キロメートルにあり、その面積は9万平方メートルに及びます。この島の大部分は東邦亜鉛株式会社が所有しており、子会社である東邦契島製錬が運営する工場が存在します。興味深いことに、日本国内で製錬されている鉛の40％以上が契島で生産されているため、鉛業界における重要な拠点となっています。

地理とアクセス

契島には東邦亜鉛の工場があるため、一般の人々は立ち入ることができない区域が広がっています。唯一、大崎上島町営フェリーが立ち寄る波止場がアクセス可能で、ここから島に向かうことができます。運航される定期便は竹原港と白水港（大崎上島）との間を結び、所要時間は約20分です。平日は竹原港から1日17往復、白水港からは7往復の便があり、さらに大崎上島町営のフェリーでは白水港、生野島を経由して契島までの便も運行されています。

鉛製錬とその重要性

契島の工場は、1899年に深川鉱山製錬所として銅精錬を始め、その後鉛の製錬を中心に発展を遂げました。1950年には東邦亜鉛に買収され、2022年には新たに設立された子会社の東邦契島製錬に事業を承継しています。この工場ではオーストラリアや南アメリカから輸入した鉱石を加工し、年間約9万トンの鉛を出荷しています。製品は主に自動車バッテリーの材料として利用され、多くの国産車に欠かせない部品となっています。

マニアの注目を集める島

契島はその独特な状況から、工場マニアや廃墟マニアの間で「もう一つの軍艦島」として非常に人気があります。特に、立ち入り禁止の区域に無断で足を運び、その雰囲気を楽しむ人々が後を絶たない状況です。ただし、この行為は不法侵入となり大変危険であるため、実際に訪れる際は慎重になる必要があります。

島内には7つの工場のほか、物流センターや職員住宅もあり、2017年には約30人の作業員が住んでいます。このような人々に支えられ、契島は今もなお日本の鉛製錬の重要な拠点として機能しています。

まとめ

このように契島は、広島県における鉛の製錬の中心地としてだけでなく、特異な環境からマニアの中心地ともなっています。一般には閉ざされた島ですが、その魅力は多くの人々に知られることとなり、今後もさまざまな形で注目されていくことでしょう。

もう一度検索