奥久慈しゃも

奥久慈しゃもについて

奥久慈しゃも（おくくじしゃも、英語: Okukuji Shamo Chicken）は、茨城県のブランド地鶏で、その美味しさと品質の高さで知られています。特筆すべきは、地鶏として日本で初めて地理的表示保護制度(GI)に登録された点です。

概要

奥久慈しゃもは、茨城県の北部、福島県との県境に位置する久慈郡大子町、常陸大宮市、常陸太田市、高萩市といった地域で、農事組合法人奥久慈しゃも生産組合によって生産されています。自然豊かな環境で平飼いされ、十分に運動することで、脂肪が少なく、肉の締まりが良く、濃厚な旨みが生まれます。

2023年現在、奥久慈しゃもの消費量は、生産量の約2～3割が茨城県内、残りの6割以上が東京都内で消費されています。

歴史

奥久慈しゃもの歴史は1985年に本格的な生産・販売が開始されたことから始まります。昭和60年代には、しゃも弁当が人気を博し、大阪で開催された地鶏コンテストでは1位に輝きました。その後、東京の鶏料理店で使われるようになり、徐々にその評価を高め、地元でも広く知られるようになりました。

しかし、2011年の福島第一原子力発電所事故による風評被害や、2019年の令和元年東日本台風、そして新型コロナウイルス感染症の流行により、飲食店からの需要が大きく落ち込みました。しかし、2018年には地鶏として初めて地理的表示保護制度の対象となり、全国的なブランド認知度と需要が高まり、生産拡大が求められるようになりました。

奥久慈しゃも生産組合では、生産入門講座の開催や、新規参入者へのヒナ代補助といった支援策を実施し、生産者の育成に力を入れています。その結果、人口減少が進む地域において、茨城県立大子清流高等学校の新卒生が組合に就職するなど、14年ぶりに新たな生産者が加わるという明るいニュースもありました。2024年には、年間生産量がピーク時の約5万羽まで回復する見込みです。

鶏種

奥久慈しゃもは、茨城県県北地域で古くから飼育されてきたしゃもを系統選抜し、1975年代に交配様式を確立させた系統種です。具体的には、しゃもの雄に名古屋コーチンとロードアイランドレッドを掛け合わせた雌を交配して作られています。

飼育

奥久慈しゃもは、雄の場合で最低110日齢以上、雌の場合は最低130日齢以上かけて丁寧に育てられます。28日齢以降は、1平方メートルあたり10羽以下の低密度環境で飼育され、トウ[[モロコシ]]、モロコシ、大豆粕、菜種粕などを混合した飼料に、食塩、カルシウム源、さらにヨモギなどの滋養成分や海藻由来の天然ミネラルを加えて与えています。

一般的なブロイラーと比較すると、その飼育方法には大きな違いがあります。ブロイラーの平均飼育密度は16〜19羽/平方メートルで、生後51〜55日で出荷されるのに対し、奥久慈しゃもはゆったりとした環境で時間をかけて育てられています。この飼育方法が、奥久慈しゃもの肉質の良さにつながっています。

まとめ

奥久慈しゃもは、その歴史、飼育方法、そして地域を挙げての取り組みによって、高品質なブランド地鶏としての地位を確立しました。その美味しさをぜひ味わってみてください。

出典

* 奥久慈しゃも - 農事組合法人奥久慈しゃも生産組合

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