奥山吉兼

奥山吉兼の生涯と事績

概要

奥山吉兼（おくのやま よしかね）は、戦国時代に活躍した武将で、遠江国周智郡奥山郷を本拠地とする国衆でした。彼は高根城を拠点とし、今川氏や武田氏と関わりながら、その地位を確立していきました。

出自

奥山氏は、室町時代に山香荘の北部に位置する奥山郷を支配していた国人領主であり、当初は遠江天野氏の所領を不正に支配することで、その地位を確立しました。吉兼の父は奥山加賀守定吉であり、吉兼はその系譜に連なる重要な人物です。天文23年（1554年）には、吉兼に関する最初の記録が残されています。

事績

吉兼は永禄6年（1563年）に天野景泰・元景父子が今川氏に反抗した際、彼らに賛同し、今川氏真に対して反旗を翻しましたが、その反乱は景泰が討たれることで終息しました。その後、吉兼は奥山郷の支配を継続しました。ちなみに、奥山氏内には庶流の奥山定友・友久兄弟が存在し、彼らは今川方に従属していましたが、吉兼は未だに勢力を保っていました。

定友・友久兄弟が今川氏真から地位を与えられた際も、吉兼の勢力は存続しており、代わりに締約地を与えられる事態もありました。今川氏も、吉兼が横領していることを憂慮し、敵対勢力に備えるために定友・友久兄弟や天野藤秀に対し、城を築くよう命じました。

永禄11年（1568年）からは徳川家康や武田信玄の侵攻が始まり、吉兼と定友・友久兄弟は共に徳川氏に従属しました。こうした情勢の中で、吉兼は奥山郷をしっかりと維持し続けました。元亀3年（1572年）には武田氏からの知行を受けることとなり、奥山郷の支配者としての地位を不動のものとしました。

吉兼は武田氏の命令によって、北遠地域における重要な指揮官としても活動していました。天正3年（1575年）には、武田勝頼が織田・徳川連合軍との戦いで敗北し、徳川軍の反攻により重要な地点が攻略されます。この時、吉兼は依然として奥山郷を保持しており、勝頼によから援軍を受ける立場にありました。吉兼の忠誠に対して勝頼は賞賛し、奥山郷の安定を図りました。

天正10年（1582年）には武田氏が滅亡しましたが、吉兼はその後も奥山郷に留まり、神原八幡社の造営の際にもその名が見られます。このように、吉兼は彼の時代において確固たる地位を築き上げることができた優れた武将でした。彼の動向はその後不明ですが、周囲との関係や地域の支配を通じて影響を持ち続けたと考えられます。

参考文献

• - 柴辻俊六、平山優、黒田基樹、丸島和洋『武田氏家臣団人名辞典』東京堂出版、2015年
• - 鈴木将典『遠江天野氏・奥山氏』岩田書院、2012年
• - 平山優『武田氏滅亡』KADOKAWA、2017年

もう一度検索