奥田元宋

奥田元宋の生涯と業績

奥田元宋（おくだ げんそう）は、1912年に広島県双三郡八幡村（現・三次市吉舎町八幡）で生まれ、2003年に東京都でその生涯を終えた日本の著名な画家である。本名は奧田嚴三であり、彼は日本芸術院の元会員として知られ、1984年には文化勲章を授与されるなど、多くの賞を受けている。また、彼の妻で人形作家の奥田小由女は、彼と同様に文化勲章を受章し、史上初の夫妻での受章となった。

元宋の絵画は、特に「元宋の赤」と称される独特な赤色が特徴であり、この色合いは自然との調和を反映したものとされている。「美術人名辞典」では、彼の作品が自然と自己の内面を結びつけた幽玄な山水画として評価されており、ブリタニカ国際大百科事典では、彼が新朦朧派として知られる独自の風景画を確立したことが触れられている。

初期のキャリア

元宋は1931年に上京し、児玉希望のもとで画技を学んだが、一時は自身のスタイルに疑問を持ち、弟子を辞める。その後、文学や映画に惹かれる時期を経て再び児玉のもとに戻り、再度学び始める。1936年に文展に初入選した際には、「三人の女性」を出品し、本格的な画家デビューを果たす。

1937年には児玉希望画塾の第1回展で「舞踏場の一隅」が塾賞を受賞し、ここで名付けられた雅号「成珠」よりも自ら名付けた「元宋」を用いることになった。彼の作品のスタイルは、次第に中国宋元絵画への影響を受け、独自の色彩美を持つ風景画へと進化していく。

芸術家としての成熟

1944年には戦争の影響で故郷に疎開するが、この間も作品を描き続け、1949年には第5回日展で「待月」が特選と白寿賞を受賞する。その後も数多くの賞を受け、1962年には文部大臣賞を受賞し、文化庁に作品が買い上げられる。1973年には日本芸術院会員となり、1974年には日展常任理事となるなど、彼の地位は高まっていく。

晩年と功績

1981年には皇室での歌会に出席し、また同年に文化功労者に選ばれた。1984年には文化勲章を授与され、1995年には日本芸術院第一部（美術）の部長にも就任する。1996年には銀閣寺の障壁画が完成し、晩年も精力的に活動を続けた。

元宋の作品は、山種美術館や奥田元宋・小由女美術館に収蔵されており、彼の絵画が今なお多くの人々に親しまれていることを示している。

代表的な作品

彼の代表作には、1976年に制作された「松島暮色」や1986年に描かれた「湖畔春耀」があり、どちらも絹本彩色で仕上げられた。これらの作品は彼の独自の色彩感覚と山水をテーマにした叙情的な表現を反映している。

著作と影響

また、元宋は画家としてだけでなく歌人としても活動し、多くの著書を残した。『奥田元宋画集』や『山燃ゆる』などがその一例であり、彼の思想や作品への深い理解を求める人にとって貴重な資料となっている。

2006年には奥田元宋・小由女美術館が開館し、彼の遺した芸術を後世に伝える役割を果たしている。元宋の影響は、彼の作品に触れた人々に深く刻まれ続けるだろう。

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