奥田秀種

奥田秀種（おくだ ひでたね）は、日本の戦国時代に活躍した武将です。

彼の出自については、室町幕府の管領を務めた斯波義将の弟である義種に遡るとする系譜（『寛政重修諸家譜』に詳しい）が存在します。この説によれば、義種の子孫である民部少輔満種、修理大夫持種、左兵衛督義敏を経て、その子である三郎政敏が秀種の父にあたるとされます。しかし、『群書系図部集』に収められた「武衛系図」には、義敏の子として彌三郎寛元や又三郎義延といった人物が見られる一方で、三郎政敏の名は見当たらず、系譜については異説も存在します。

奥田氏の家系は、斯波満種の子である源三郎氏種が尾張国中島郡奥田庄の領主となり、奥田氏を称したことに始まります。この奥田家は、三代目の直種の代で後継ぎがなく途絶える危機に瀕しましたが、そこに秀種が養子として迎え入れられ、家督を相続することとなりました。このため、秀種は当初、養家ゆかりの地である尾張国奥田庄に居住していたと考えられます。

その後、秀種は居を美濃国茜部に移し、当時の美濃の有力大名であった土岐氏に家臣として仕えました。土岐氏の勢力拡大に伴い、秀種はしばしば隣国である近江国への合戦に参加しました。そこで彼は数々の武功を立て、その名を挙げたと伝えられています。特に、近江の有力豪族である佐々木氏の一族との合戦において、佐々木氏の象徴であった「四つ目結び」の旗指物を敵から奪取したという逸話が残されています。

この旗指物から、秀種は独自の家紋を考案したとされます。奪った「四つ目結び」の紋から一つを取り、それを基にして「釘貫き（くぎぬき）」という家紋を定めたというのです。ただし、「釘貫き」の紋自体は、鎌倉時代に関東の武士によって既に使用されていた記録があるため、秀種の考案が全ての「釘貫き」紋の始まりというわけではありません。しかし、特定の家系、例えば後に村松藩主となった堀家の用いる「釘貫き」紋は、奥田秀種に由来すると伝えられています。ちなみに、奥田秀種の定紋は「亀甲に花菱」でした。

奥田秀種は、弘治3年（1557年）9月5日にその生涯を終えました。享年54歳でした。その生涯は、複雑な出自を持ちながら奥田家を継ぎ、戦国乱世の中で土岐氏に仕え、武功を立て、家紋の由来にまつわる逸話まで残した、まさに戦国武将の一生であったと言えるでしょう。

彼の事跡については、『堀家の歴史』や、江戸幕府が編纂した大名・旗本の系譜集である『寛政重修諸家譜』、さらには古記録を集めた『群書系図部集』といった文献にその名が見られます。

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