女であれ、男であれ

1982年、日本の歌謡界を代表するアーティスト、郷ひろみからリリースされた42枚目のシングル「女であれ、男であれ」は、その年の5月2日に発売されました。この楽曲は、力強い歌声と郷ひろみ特有の表現力で聴く者を魅了し、当時大きな話題となりました。

カップリング曲として収録された「故郷は僕に微笑む」も、このシングルを語る上で欠かせない存在です。この曲は、同年一部開業を迎えた東北新幹線をイメージして制作されました。歌詞は一般公募によって選ばれ、曹洞宗の僧侶である早坂文明氏が作詞を手掛けた作品が採用されました。三浦徳子氏も作詞に参加し、早坂氏の言葉に新たな魅力を加えています。

「故郷は僕に微笑む」は、東北地方の自然や人々の温かさ、そして未来への希望といった要素が巧みに織り込まれた、叙情的な楽曲です。東北新幹線という現代的なテーマと、故郷への郷愁という普遍的な感情が融合した、聴く人の心を揺さぶる名曲と言えるでしょう。作曲は小杉保夫氏、編曲は若草恵氏が担当し、楽曲全体の雰囲気をさらに高めています。

一方のA面「女であれ、男であれ」は、作詞を来生えつこ氏、作曲を来生たかお氏、編曲を後藤次利氏が担当しました。来生兄弟による作詞作曲は、多くのヒット曲を生み出してきた実績があり、この楽曲においても、彼らの才能が遺憾なく発揮されています。

「女であれ、男であれ」と「故郷は僕に微笑む」、この二曲は対照的な魅力を持つ楽曲でありながら、どちらも郷ひろみの声質と表現力によって、見事に一つの作品として昇華されています。このシングルは、郷ひろみの音楽性、そして1982年の日本の社会情勢を反映した、時代を代表する作品と言えるでしょう。東北新幹線開業という大きな出来事を背景に、郷愁と未来への希望が共存する、まさに時代の象徴と言える一枚です。

このシングルの発売は、郷ひろみ自身のキャリアにおいても重要な節目となりました。彼の音楽的成熟と、時代を捉える感性の鋭さを示す、記念碑的な作品と言えるでしょう。また、カップリング曲の歌詞公募という試みも、当時としては斬新な取り組みであり、音楽業界に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

「女であれ、男であれ」と「故郷は僕に微笑む」。この二つの楽曲は、郷ひろみの代表作として、今もなお多くの人々に愛され続けています。そして、このシングルは、1982年の音楽シーンを語る上で欠かせない存在であり続けているのです。

もう一度検索