女王陛下の007 (映画)

映画『女王陛下の007』の詳細

『女王陛下の007』（じょおうへいかのゼロゼロセブン、原題: On Her Majesty's Secret Service）は、1969年に公開されたアクションスパイ映画であり、ジェームズ・ボンドシリーズの第6作目です。本作はイアン・フレミングによる1963年の同名小説を基に制作されています。前作『007は二度死ぬ』を最後にボンド役から退いたショーン・コネリーの後を引き継いだのは、モデル出身で演技経験がほとんどなかったジョージ・レーゼンビーでした。

ストーリーの概要

物語は、宿敵ブロフェルドを捕まえるために計画された「ベッドラム作戦」を遂行するボンドが、ポルトガルで若い女性テレサ（ダイアナ・リグ）と出会うところから始まります。彼女は大胆で魅力的な女性であり、ボンドは次第に彼女に引かれていきます。テレサは犯罪組織のボス、ドラコ（ガブリエル・フェルゼッティ）の娘ですが、彼女の安定しない生活が心配でドラコはボンドにテレサとの結婚を頼むことになります。ボンドはこの提案を利用し、ドラコからブロフェルドに関する情報を引き出そうとしますが、次第にテレサへの気持ちが本物になっていきます。

ロンドンに戻ったボンドは、M（バーナード・リー）の命令によりベッドラム作戦から外され、抗議として辞表を提出することになります。しかし、テレサの父ドラコから得た情報を元に、ブロフェルドのアジトであるアルプスの山荘に忍び込みます。ボンドは、ブロフェルドが被験者の女性たちを使って世界を恐喝しようとしている計画を知ることになります。また、ボンドはこの過程で、ブロフェルドとその部下イルマ・ブント（イルゼ・ステパット）から執拗に追われることになります。

ボンドはなんとか研究所から逃げ出しますが、テレサが襲われ、さらには彼女が拉致されるという事態が発生。これに対し、ボンドはドラコの協力を受け、テレサを救出するためにブロフェルドのアジトに襲いかかります。そして、彼は見事に殺人ウイルス計画を阻止し、テレサを救うことに成功します。二人は結婚式を挙げますが、待ち受けていたのは追跡してきたブロフェルドの執拗な攻撃であり、ハネムーンに向かう途中、テレサが負傷する悲劇的な結末が待っています。

キャスト

本作の主要キャストには、主人公ジェームズ・ボンド役のジョージ・レーゼンビー、テレサ役のダイアナ・リグ、宿敵ブロフェルド役のテリー・サバラスがいます。その他にも、M役のバーナード・リーやQ役のデスモンド・リュウェリンなど、お馴染みのキャラクターが登場します。

製作スタッフ

監督はピーター・ハント、脚本はウォルフ・マンコウィッツとリチャード・メイボームが担当しました。また、音楽はジョン・バリーが手掛け、主題歌として「女王陛下の007」が用いられ、挿入歌にはルイ・アームストロングによる「愛はすべてを越えて」が採用されています。

評価と影響

公開当初の興行成績は振るわず、レーゼンビーの英語発音が問題視されるなど評価は低いものでした。しかし、後年において本作はボンド映画の中でも特に評価され、「スティーヴン・ソダーバーグ監督は本作をシリーズのベストと指摘しています。アクションとラブストーリーがうまく融合した作品として、再評価されるようになりました。映画『女王陛下の007』は、ボンドストーリーの新たな側面を切り開いた秀作として、今なお語り継がれています。

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