好酸球性肺炎

好酸球性肺炎について

好酸球性肺炎（こうさんきゅうせいはいえん、英: eosinophilic pneumonia）とは、細胞の一種である好酸球が肺に浸潤し、様々な症状を引き起こす疾患群のことを指します。この疾患は、好酸球が増加することによる肺の異常が特徴で、昔はPIE症候群（pulmonary infiltration with eosinophilia syndrome）として知られていました。

疾患概念の歴史

この疾患は1932年にWilhelm Löfflerが最初に報告したもので、その特徴として末梢血中の好酸球増加と肺の異常陰影が挙げられます。そのため、彼の名前を冠した「レフレル症候群」として知られています。1952年にはクロフトンがこの疾患を再分類し、1973年にはしとろによって更なる修正が加えられました。以下の5つの疾患が分類されています：

1. 単純性肺好酸球増多症（レフレル症候群）
2. 遷延性肺好酸球増多症
3. 熱帯性好酸球増多症
4. 喘息を伴う好酸球増多症
5. 血管炎に伴う好酸球増多症

その後、好酸球の増加が見られない症例も分かってきたため、これらの様々な疾患を包括する形で好酸球性肺炎と看做されるようになりました。

疾患の種類

レフレル症候群

レフレル症候群は、胸部X線で一過性の浸潤陰影が見られ、軽度な症状の出現が特徴です。原因には寄生虫や薬剤があり、時にはその原因が不明な場合もあります。通常、無症状で経過することが多く、軽微な咳や倦怠感程度で、症状は数日から数週間内に自然に改善します。

急性好酸球性肺炎

急性好酸球性肺炎（AEP）は、急性に進行し、重篤な呼吸不全を引き起こすことがあります。特に喫煙歴のある人や新しい薬を服用した人に多く見られ、典型的には胸部X線写真でびまん性の陰影が確認されます。治療にはステロイド薬が有効で、早期の介入が予後を左右します。

慢性好酸球性肺炎

慢性好酸球性肺炎（CEP）は、持続的な症状が特徴で、主に中年女性で多く見られます。咳や発熱、呼吸困難といった症状が見られ、更に胸部X線写真では特有の浸潤影が確認されます。AEPと同様に、ステロイドによる治療が有効です。

好酸球増加症候群

好酸球増加症候群（HES）は、好酸球が異常に増加しながらも原因が不明な状態で、臓器障害を引き起こすことがあります。この状態では、高い好酸球数が臓器に問題を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

その他の関連疾患

さらに、アレルギー性肉芽腫性血管炎（Churg-Strauss症候群）やアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などでも、好酸球性肺炎が併発することがあります。

まとめ

好酸球性肺炎は多様な症状を持つ疾患であり、その概念は歴史とともに進化してきました。診断や治療方法の理解が進むことで、患者の予後改善に寄与することが期待されます。

もう一度検索