妖怪博士の朝食

『妖怪博士の朝食』は、水木しげるが『ビッグゴールド』に連載した『不思議シリーズ』と『妖怪変化シリーズ』をまとめた単行本です。全4巻で刊行され、後に文庫版全2巻も発売されました。

不思議シリーズ

1992年 12月号から1993年 11月号にかけて連載された『不思議シリーズ』は、作者である水木しげる自身や家族、知人、そして「ねずみ男」や「サラリーマン山田」、「死神」といったお馴染みのキャラクターが登場し、幸福や妖怪に関する水木の考察、日常生活での出来事などを題材にした連作短編シリーズです。水木しげるは、近年、このような日常生活を描いた作品を好んでおり、一部のエピソードは自伝漫画『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ』にも加筆修正されて収録されています。また、単行本第4巻と文庫版第1巻には、読み切り作品『トペトロの葬式』も収録されています。

妖怪変化シリーズ

1993年 12月号から1995年 8月号にかけて連載された『妖怪変化シリーズ』は、主に妖怪を題材とした現代劇や時代劇の連作短編シリーズです。短編漫画『一番病』を彷彿とさせる棺桶職人や、老人姿の鬼太郎などが登場する一方で、『不思議シリーズ』と同様に日常のエピソードを元にした話も含まれています。「水木しげるロード」を題材にした第3話『川赤子』では、企画者の黒目友則など関係者が妖怪として登場し、第9話『幽霊』では、1994年に亡くなった水木の母の葬式を題材に、作中に母の幽霊が登場します。日常のエピソードをベースにした話は、セミドキュメンタリーやノンフィクションに近い内容で、多少のアレンジはあるものの、事実に基づいたものが多いのが特徴です。

主な登場キャラクター

各エピソードには、様々な人物や妖怪が登場し、一話限りであったり、複数のエピソードに登場したりと、様々な役割で描かれています。

水木しげる
本作品の作者であり、作中では妖怪の専門家として描かれていますが、不思議な出来事にしばしば巻き込まれ、「アリャマタコリャマタ」などに解決や指南をしてもらうことが多いです。水木の家族や知人たちも頻繁に登場し、時には事件に巻き込まれたり、時には共に活躍したりと、様々な描かれ方をしています。
アリャマタコリャマタ
普段は荒俣宏として出版社に住みついているが、その正体は三つ目の半妖怪。第三の目から発するアリャマタ光線で妖怪と戦うなど、怪事件の解決に活躍します。タイヤキが好物で「タイヤキマン」とも呼ばれています。
ねずみ男
『鬼太郎』シリーズの「300年生きている半妖怪」という設定の延長線上で、頻繁に登場します。お金儲けを企み、幸福観察学会会長、百歳教教祖、易者、よろづ実験会社、陰陽道、オナラ真理教尊師など、頻繁に肩書きを変えて現れます。水木一家や荒俣との会話も多いです。
山田
水木作品ではお馴染みのメガネ出っ歯の男。平凡なサラリーマン、幸福博士、助手など様々な職業や年齢で登場しますが、それぞれ繋がりはほとんどなく、ほぼ別人です。悲惨な末路を辿るかと思えば、最終的に救われて幸せになったりと、境遇も様々です。同一人物の場合でも、話が変わると以前とは職業や環境などが関連なく異なってしまうなど、設定も一定ではありません。
死神
水木作品ではお馴染みの死神の男。『鬼太郎』シリーズや『サラリーマン死神』と共通する設定で描かれたり、本作独自の役割を担ったりと、頻繁に現れて各話の登場人物と関わっていきます。水木一家、荒俣、ねずみ男、山田（メガネ出っ歯）との会話も多いです。

書誌情報

『妖怪博士の朝食』小学館〈ビッグゴールドコミックス〉、全4巻
1巻不思議シリーズ(上)、1994年02月20日発行、ISBN 4-09-189031-8
2巻不思議シリーズ(下)、1994年04月20日発行、ISBN 4-09-189032-6
3巻妖怪変化シリーズ(上)、1995年01月10日発行、ISBN 4-09-189033-4
4巻妖怪変化シリーズ(下)、1995年10月20日発行、ISBN 4-09-189034-2

『妖怪博士の朝食』小学館〈小学館文庫〉、全2巻
1巻、2001年12月14日発行、ISBN 4-09-192611-8
2巻、2001年12月14日発行、ISBN 4-09-192612-6

『水木しげる漫画大全集』講談社
不思議シリーズ(全)、2013年6月3日発行、ISBN 978-4-06-377527-3
* 妖怪変化シリーズ(全)、2014年2月3日発行、ISBN 978-4-06-377528-0

外部リンク

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